2019年9月のドル円:米利下げ継続で弱含み、主要中銀緩和で円買いも

2019年9月のドル/円は弱含む展開となりそうです。米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ継続の思惑で、ドル売り基調が続く見通し。また、欧州中銀(ECB)など主要中銀も追随して一段の緩和的な金融政策が見込まれ、円買い方向に振れやすいでしょう。

米大統領に振らされドル5円下落

7月30-31日の連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBは10年半ぶりの政策金利引き下げに踏み切りましたが、パウエル議長の利下げサイクル入りに否定的な見方でドル売りは後退。しかし、その直後にトランプ大統領が中国に対する制裁を打ち出し、米中対立の激化を懸念したドル売り/円買いが優勢となりました。トランプ大統領はその後、制裁「第4弾」の税率引き上げに言及しさらに株安/ドル安を引き起こします。

8月のドル/円は米中貿易戦争に翻ろうされ、月初の109円台から大きく値を下げる展開となりました。人民元の対ドル相場が徐々に切り下げられており、米中摩擦は通貨戦争に発展。23日には中国の報復とそれに対するアメリカの税率引き上げ、それにパウエル議長のハト派寄りの発言と相まって大幅安に。年明け直後の「フラッシュ・クラッシュ」の際に付けた年初来安値を下抜け、104円46銭まで売り込まれました。

9月は緩和ラッシュで円高不可避

ドル/円の今年前半の値幅は6円程度でしたが、8月の1カ月間で約5円も円高に振れましたが、9月はさらに円高方向に向かう可能性があります。米中両国はワシントンで通商協議を再開させますが、これまで同様に完全解決は想定できず、積極的なドル買いは手控えられるでしょう。また、豪準備銀や欧州中銀(ECB)、英中銀などが集中し、各中銀による一段の緩和的な金融政策で円買い圧力が強まる公算です。

ただ、ドルの下落ペースは弱まると予想します。来年の大統領選が事実上スタートしますが、8月のNYダウをみると市場の混乱を反映して7月から大きく値を下げておりトランプ大統領は当面、対中制裁のスタンスを弱めるでしょう。もっとも、トランプ大統領がどこかのタイミングで再び制裁を強めるリスクは残ります。交渉決裂によるセンチメントの悪化が見込まれ、参加者は慎重にならざるを得ないでしょう。

不透明なブレグジットで警戒の円買い

また、イギリスの合意なき欧州連合(EU)離脱のリスクも強まっています。議会の閉会で強硬離脱を回避するための議論が封じられ、10月末に向けて政治情勢の混乱は避けられない見通し。目先はポンド/円の下落がクロス円に波及し、ドル/円を下押しする展開となりそうです。ただ、そうなるとドルは安全通貨として買われ、ユーロやポンドに対して強含めば対円での下げを弱めるでしょう。

ドル/円は大きな節目の100円が視野に入るかもしれませんが、その水準を割り込むには至らないと予想します。

9月の主な注目材料

2日  中国財新製造業PMI
3日  豪準備銀定例会合
米8月ISM製造業景況指数
4日  豪4-6月期国内総生産(GDP)
  カナダ銀行定例会合
5日  スイス4-6月期国内総生産(GDP)
米7月製造業新規受注、8月ISM非製造業景況指数
6日  米8月雇用統計、FRB議長発言
10日 中国8月消費者物価指数(CPI)
12日 トルコ中銀定例会合
    欧州中銀(ECB)理事会
米8月消費者物価指数(CPI)
16日 中国8月小売売上高、鉱工業生産
米 9月NY連銀製造業景気指数
17-18日 米連邦公開市場委員会(FOMC)
17日 米8月鉱工業生産
18-19日 日銀金融政策決定会合
   英中銀金融政策委員会(MPC)
19日  NZ4-6月期国内総生産(GDP)
米9月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
23日 米9月製造業PMI、サービス部門PMI
26日 米4-6月期国内総生産(GDP)確定値
27日 米8月個人消費支出、耐久財受注
(おわり)

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