【GEL】2016年に新安値か

 ジョージア(旧グルジア)通貨ラリ(GEL)は昨年9月末、米利上げ観測や金融市場の混乱を背景に、一時1ドル=2.47ラリまで下落。政情不安が高まった1999年以来の安値を更新した。8月の1カ月間でラリはインドルピーなど新興国通貨と同程度の約6%も下落。ロシアをはじめとする近隣諸国の経済減速の影響を受け、ジョージアの経常赤字が拡大したこともラリの押し下げ要因とみられる。ただ、米大統領選に向けジョージアラリの売り圧力が強まれば、史上最安値を更新するだろう。
 ジョージアは旧ソ連ながら親米路線を打ち出していることから、ラリは政治色が強い通貨として知られる。2000年以降の値動きからはその特徴がよくわかるだろう。2003年11月、議会選挙の結果を不服とする野党勢力が議会や大統領府を占拠。圧倒的支持を得たサーカシヴィリは政変のシンボル的存在となり、シュワルナゼ大統領(当時)を辞任に追い込んだ。「バラ革命」である。政変後は2.2ラリ台から国内の政治と経済は安定に向かい、2008年には2000年以降の最高値となる1.3940ラリまで値を切り上げた。
 ただ、その後相場は大きく崩れる。ジョージア国内に自治権を持つ南オセチアとアブハジアの独立問題をめぐり、ロシアが一方的に両国の独立を承認したことでジョージアとロシアは武力紛争に。ジョージアはこれを契機に独立国家共同体(CIS)を脱退したため、現在は安全保障や経済の面で北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)加盟を最優先課題として取り組んでいる。実現できれば国際政治情勢に左右されやすいラリの安定にもつながるだろう。
 一方、昨年11月24日にトルコ軍が同国領空を侵犯したとしてロシア機を撃墜した問題で、ロシアとNATO加盟国のトルコは関係が悪化。トルコとジョージアはアゼルバイジャンを起点とするBTCパイプラインで結ばれるなど、エネルギー面で同盟関係にある。今後、ロシアがコーカサス地方の反ロシア勢力の一掃に乗り出さないとも限らない。折しも2016年11月には米大統領選が予定されている。南オセチア・アブハジア紛争はブッシュ政権末期のことだった。通貨の視点でも、シリア情勢でロシアが主導権を握ることに懸念は強い。

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