【EUR】値動きを読めますか?

 値動きが読み切れず、見通しを外してしまうのがユーロ・ドルの値動きだ。ユーロ圏の経済指標が上振れたら通常はユーロ買いだが、実際には売られる場合がある。逆もまたしかり。「ユーロで勝ったことはない」(外銀の外為ディーラ)、「上がると思ったら売る、下がると思ったら買うというのがコツではないか」(邦銀関係者)と、プロでもこれだ。短期的な外為取引でユーロを扱うのは、それだけ難しい。
 リーマン・ショック直前の2008年7月、ユーロ・ドルが電子端末上で節目の1.60ドル台に乗せた瞬間を記憶している。「一体どこまで強くなるのだろう」と思ったが、その時をピークに、この7年あまりの間は長期ユーロ安が続いている。リーマン・ショック以降の低金利政策が背景だが、ドルに代わる将来の基軸通貨と期待されたユーロは、決済通貨どころかキャリートレードのファンディング通貨でしかない。これだけ売り材料ばかりがそろっているのだからカラ売りで大儲けできるはずだ。だが、どうしても予測通りに動かない不思議な特徴がある。
 2015年10月にドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が年末に量的緩和の拡大を決めるとの方針を示すと、ユーロは1.0600ドル台まで売り込まれた。ユーロ売りの材料が尽きないので短期的なポジション調整一巡後は下値を模索すると予測した。米銀のある外為ストラテジストは、2017年までの長期ユーロ安トレンドの過程でパリティ(1ユーロ=1ドル)割れを予想している。しかし、「パリティ」の観測が出始めると浮揚する。これはジンクスか、アノマリーか。
 昨年12月にECBが量的緩和に踏み切った際の値動きは象徴的だった。量的緩和の決定は本来売り要因だが、ポジション調整の影響で一時的に1.1000ドル台まで値を戻したのだ。ユーロの下落局面でネガティブな材料が出ているのに下がらない場合には、ほとんどポジション調整とみて間違いない。長期的にみれば売りが続くとみるのが常識的だが、短期的にはやはり読み切れない。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする