【CNY】下値メドは6.7元台か

 「切り上げ」が課題だった人民元が昨年8月に突然「切り下げ」に転じ、中国経済は通貨安にしなければならないほど悪化しているとの懸念が国際金融市場に広がった。この時は中国政府や当局の介入により混乱は収束したものの、2016年の年明け以降、2度目の切り下げにより中国経済への懸念が再燃している。
 中国人民銀行は昨年8月11日から3日連続で人民元の対ドル基準値を切り下げた。人民銀はこれについて「新たな経済統計の分析と相場クオートメカニズムの改善に基づいている」と説明。人民元は3日間で4%超下落した。この動きを受け、新興国も自国通貨の切り下げに動くとの思惑から、インドネシアルピアとマレーシアリンギは対米ドルで17年ぶりの安値を更新。新興国に流入していた資金は、逃避先としてユーロに向かった。他方、株式市場では中国経済が悪化しているとの警戒感から売り優勢となり、世界同時株安につながった。
 ただ、人民銀はこの時「国内外の経済情勢を踏まえると、人民元が持続的に下落する根拠はない」と“火消し”に躍起だった。結局、中国の利下げなどによって混乱は収束。米国はこれまで中国に対し、人民元の「切り上げ」を求めてきた経緯があるのだが、米国サイドの金融当局者は「中国経済が同国当局の予想よりも弱くなったことが明らかになれば、その弱さの結果として同国通貨が調整するのは恐らく不適切ではない」(ニューヨーク地区連銀のダドリー総裁)と容認する姿勢を示している。元切り下げによって中国経済が持ち直すなら、世界経済にとっては悪くないと考えていたのだろう。
 ところが、2016年の年初から、人民銀が昨年8月同様、4年ぶりとなる安値まで対ドル基準値を切り下げたことを受け、国際金融市場は再び混乱に陥った。日経平均株価の年明け以降5日続落となった。これについて、邦銀のある外為ディーラーは「中国の金融当局は8月に国内経済の減速を否定していたが、今回の切り下げにより減速を認めたようなものではないか」との見方を示す。
 1月8日の取引では人民元の基準値は前日より元高方向となったことから、市場にはやや安心感が広がった。しかし、ドル高・元安はさらに進むと予想する。昨年8月時点では、「輸出業者を支援するために最大10%の通貨切り下げを実施する必要があると中国当局は考えている」と通信社が報じているからだ。8月の切り下げ前の水準が6.2元だったことを考えると、10%切り下げで約6.8元。複数の市場関係者は6.7元が落ち着きどころとみている。国際通貨基金(IMF)特別引き出し権(SDR)採用を受け、2016年から人民元取引は欧米時間帯まで延長された。「人民元元年」にふさわしい波乱のスタートだ。

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