【GBP】木曜日に動く理由

 ずいぶん昔の話だが、1997年5月の英国総選挙で、「ニューレイバー」を掲げたブレア党首率いる労働党がサッチャー、メージャーと続いた保守党を破り、18年ぶりに与党に返り咲いた。労働党支持者による歓喜の宴をホテルのテレビで見ていた。それにしても、なぜ投票日は木曜日だったのか、ということが気になった。
 英国人の同僚にその理由を尋ねてみると「金曜日にパブでビールを飲む時の話題にするためだ」とウィンクしながら両手を広げた。いかにも英国人が言いそうなセリフに思わず吹き出した。
 選挙はなぜ平日の木曜日なのか。その後も調べてみたが確たる情報はない。英国留学中の知人を通じて現地の中学校教師に尋ねたところ、「慣習で決まっているから」という回答だった。英国は不文憲法なので、それはそうなのだが、慣習が生まれた背景は何か。民主主義の先達である英国のことだから、きっかけとなった歴史上の出来事があるはずだ。
 英国の民主主義の原点は1215年のマグナカルタ(大憲章)といわれる。当時イングランドのジョン王は重税を課すなど圧政で国民を苦しめていた。しかし、貴族が団結し、国王の権力を制限するため63カ条の法律に署名するよう王に迫った。その法律がマグナカルタであり、専制から個人の権利を守る民主主義社会の礎(いしずえ)となった。
 ジョン王が署名し、マグナカルタが制定されたのは同年6月15日の月曜日だった。これに先立ち、貴族たちの間で王に署名を求めるかどうかの評決が行われたのは6月11日の木曜日。それ以来、選挙など重要な評決は木曜日に行われるようになった・・・という話だったら面白い。
 国家経済を左右する金融政策を民主的に決めるため、英中央銀行(BOE)は金融政策委員会(MPC)を木曜日に開催しているのかもしれない。この「スーパー・サーズデー」にポンドは値動きは大きくなる。
 MPCはこれまで5対4という緊迫した評決もあったが、このところ利上げに賛成するのはマカファーティー委員だけで、評決は8対1の大差がついている。1月14日のMPCもほぼ予想通りで、サプライズはなかった。BOEは年内にも利上げに踏み切るとみられているが本当にできるのか、基軸通貨国の座を奪った米国に追随していていいのか・・・そういう話は金曜日にパブでビールを飲みながらするのが英国流だ。

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