【TWD】軟調は一時的か

 16日投開票の台湾総統選は、民主進歩党の蔡英文主席が与党、国民党候補を破り、8年ぶりに政権を奪還した。独立色の強い政権が発足したことで対中関係を危ぶむ見方から、台湾ドルには向かい風と懸念されるが、杞憂ではないか。
 任期満了に伴う台湾総統選では、国民党の馬英九政権は自身が推進してきた対中融和路線の成果を訴えてきた。蔡氏はこれに対し、馬政権の政策え恩恵を受けたのは富裕層であり、それにより貧富の格差が拡大したなどと「中国傾斜」を批判。台湾の主体性を訴えて幅広く支持を集めた。この結果、国民党候補の朱立倫主席(54)を大差で破り、初の女性総統に就任。同時に実施された立法院(国会、定数113)選でも、民進党が初めて過半数を獲得した。
 15日のアジア市場は日経平均株価や上海総合指数などがほぼ全面安となるなか、台湾の加権指数だけは、政権交代への期待感からプラス圏で取引を終えた。一方、外為市場では、政権交代により中台関係は冷え込むとの懸念が強まり、海外勢は台湾ドル売りに動いた。週明けも台湾ドル売り地合いは続く可能性があろう。
 しかし、この政権交代を手がかりとする台湾ドル売りは長続きしないとみる。確かに、民進党は台湾の独立を目指し、国民党政権が中国と交わした「1つの中国」とする1992年コンセンサスを認めていない。台湾にとって最大の貿易相手国である中国との関係が不安材料視されるのは当然だろう。
 しかし、台湾はASEAN各国との関係強化により、いわば「全方位外交」による経済政策を進めている。必ずしも中国依存ではないのだが、台湾の中国・香港向け輸出は全体の約4割(GDP比では約24%)にのぼる。それを考えれば、これまで馬政権が推進した中国との関係を悪化させ、わざわざ経済を低迷に向かわせるような政策を進めるとは考えにくい。政権交代によって変えられる政策、変えられない政策の2つがある。台湾の中国政策は後者であろう。

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