【CNY】国際化は外交の成果

 ハイパーインフレで知られるジンバブエでは、中国が4000万ドル(約48億円)の債権を放棄する代わりに、人民元を国内で流通する法定通貨に採用し、2016年から実施している。これは、潜在力を持ちながら財務破たんした零細企業を大企業が買収したようなものであり、中国が長年にわたって築き上げた外交の成果だろう。
 ジンバブエでは2000年以降、ムガベ大統領の反白人政策に対する欧米諸国からの経済制裁もあって農業や産業が衰退し、同国経済は混乱に陥った。中央銀行が財政赤字を埋め合わせるために紙幣を乱発した結果、5000%を超える激しいインフレに見舞われ、ジンバブエドルの流通レートは1ドル=3京5000兆ジンバブエドルにのぼった。こうして実質的に価値を失った自国通貨は昨年6月に廃止され、米ドルや南アランドに「代役」を果たしていた。
 ジンバブエにとって、今回の中国との合意は債務が消滅のほか、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)に採用された国際決済通貨である人民元の流通により、市場からの信用力が増す。他方、中国にとっては人民元の国際化というメリットがある。ジンバブエがダイヤモンドなど鉱物資源に恵まれていることも、両国の接近と関係があるかもしれない。注目すべきは、アフリカ諸国への中国の「支援」がインフラなど産業の一部から通貨に踏み込んだことだ。
 このところ外交の舞台は、中国の習近平国家主席の独壇場だ。人民元のSDR組み入れは、中国政府が発表する国内総生産(GDP)の信ぴょう性が低いなどの問題から困難、と夏ごろまではみられていた。だが、いつの間にか合意が形成され、当たり前のように採用は決まった。人民元は事実上の基軸通貨になりつつあるのかもしれない。

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