【TRY】トルコの内憂外患

 年初からの市場の混乱は警戒が警戒を呼び、新興国通貨の下落に拍車をかけている。このうち、トルコリラは対ドルで史上最安値圏での取引が続く。米利上げの影響もあるが、「強権」で知られるエルドアン大統領の外交、内政のかじ取りの拙さがリラを押し下げているようだ。
 原油安や中国経済の不透明感から世界的に不安定な相場が続くなか、新興国からのマネーの逃避は鮮明になっている。トルコリラは年初からの3週間で対ドルでは5%程度値を下げ、1月20日には3.06リラまで下落。「中国ショック」に揺れた2015年9月24日の史上最安値3.08リラに迫った。
 リラ安は、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げスタンスを背景としたドル買いだけが原因とは言い切れない。米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、エルドアン大統領がこれまで中央銀行に対し物価高に配慮して中銀に対し利下げするよう圧力を強めたことで、リラの信認を低下させたと指摘した。
 トルコでは、昨年6月7日の総選挙で、エルドアン大統領の支持率低下で与党の公正発展党(AKP)が過半数の議席を獲得できず、政治的な空白期間が続いていたが、同年11月1日に実施された再選挙では、結局AKPが圧勝。政治情勢への懸念はいったん後退しリラは下げ止まった。ただ、エルドアン政権の人気が回復したわけではなく、選挙直前に首都アンカラで自爆テロ事件で有権者が強いリーダーシップを求めたことに他ならない。
 このため、エルドアン大統領の政権運営は引き続き厳しい状況だ。昨年11月13日にパリで発生した同時多発テロ事件以降、トルコは過激派組織「イスラム国」に原油の闇取引を通じて資金援助したとの疑いの目が国際社会から向けられている。また、トルコ領内でのロシア機撃墜事件を契機に、ロシアからの激しい非難と経済制裁にさらされていることも痛手となっている。
 一方、国内では、中銀は金融政策の据え置きを継続しており、政府と与党が歩調を合わせた経済再生への取り組みに遅れが目立つ。11月の総選挙で圧勝したAKPは、中銀に対しいらだちを募らせ、トルコ経済の足かせになっていると批判。こうした内憂外患が、リラの押し下げ要因だろう。

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