【KRW・KPW】下落加速で遠のく統一

北朝鮮は1月6日の「水爆実験」に続き、2月7日には予告通り長距離弾道ミサイルを発射し、国際社会から一斉に非難を浴びている。一方、韓国は経済成長が鈍化し、朴槿恵大統領の政権運営も行き詰まっているようだ。北朝鮮ウォン(KPW)、韓国ウォン(KRW)の下落は鮮明で、通貨の観点でも両国の統一は遠のいた観がある。
北朝鮮が2月7日に同国から南西方面に向けて発射したロケットは、2012年12月に発射した長距離弾道ミサイル(射程距離1万キロ以上)とほぼ同じコースをたどり、沖縄県上空を通過して太平洋に着弾。これに対し、日本や中国、韓国など周辺国だけでなく米国やロシア、さらに国際機関が強く非難し、北朝鮮への制裁決議に関する議論が高まっている。南北経済協力の象徴である開城(ケソン)工業団地も閉鎖されたようだ。
北朝鮮は2009年12月にはデノミを実施。2010年2月には規制を緩和して外資を呼び込み、「強く豊かな」国家になる目標の下、外資を積極的に呼び込んだ。その結果、激しい貧富の差が生じた。輸出の半分以上、輸入の8割を中国に依存しているため、中国経済の減速や人民元の基準値切り下げは北朝鮮経済にとって大打撃となったはずだ。主要国の制裁が加われば、北朝鮮の経済情勢は深刻な事態に陥るのではないか。
 この北朝鮮の問題は、先行き不透明感が広がる隣国の韓国経済にも大きな影響を及ぼしている。韓国ウォンは2月11日に5年半ぶりの安値となる1200ウォン台まで下落。輸出依存度の高い韓国経済にとっては好都合のようだが、一方で原油など輸入物価の上昇などネガティブな要因が意識されている。大統領選(再選不可)が2017年に予定されるなか、朴大統領は国内経済の立て直しに躍起だが、効果は出ていない。
 韓国統一省は2012年に、南北統一を30年と仮定して当初の10年間で55兆―290兆億ウォンのコストを試算した。北朝鮮ウォンの2015年時点での公定レートは1ドル=約100ウォン、実勢レートは1ドル=約8000ウォン前後とみられるが、制裁措置が発動されれば価値はさらに低下しそうだ。北朝鮮ウォンは韓国ウォンの8分の1程度の価値しかなく、南北朝鮮が統一された場合、明らかに韓国の負担が大きくなろう。米国や中国など大国の政治的な思惑もあるが、通貨の面でも統一は現実的ではないだろう。

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