【NLG】オランダ移住を考えてみた

机を整理していたら、真新しい10オランダギルダー紙幣が2枚出てきた。オランダは2002年1月1日、15世紀から存在していたギルダーを廃止してユーロを採用しているので現在日常では使用できないが、2032年1月1日までユーロ導入時と変わらず1ユーロ=2.2037ギルダーのレートでユーロに両替できるらしい。
1990年に初めてソ連を訪れて以来、海外旅行の面白さに目覚め、時間と資金をねん出しては主に欧州方面を訪れた。司馬遼太郎の「オランダ紀行」に触発されて1993年にオランダを中心に航空や鉄道を乗り継いで英国やフランス、ベルギーを巡った。ギルダー紙幣はその際に両替したものだ。紙幣は通常なら帰国後は円転するのだが、なぜこのギルダー紙幣だけを手元に残しておいたか理由はわからない。でも、今後も記念として残しておきたい。
当時の旅行者の感覚だけでいえば、不便ではあったが国ごとに通貨を両替した方が国境越えの醍醐味を味わえるような気がした。もちろん、オランダにとってユーロ導入は不可欠かつ不可避だった。欧州連合(EU)の加盟各国は為替差損や複数の通貨による会計処理の煩雑さがなくなり、それだけでも経済効果が見込まれたためだ。それでも、当時のオランダ国民は、ギルダー廃止に異議を唱えていたようだ。
この10ギルダー紙幣の肖像は、レンブラントとほぼ同時代のバロック期に活躍したオランダ絵画を代表する画家、フランス・ハルスで、その作品にはオランダのハールレムの住人を描いた肖像画が多い。「陽気な酒飲み」、「微笑む騎士」などが代表作として有名だ。笑っている人物画を多く描いたことから「笑いの画家」と呼ばれた。レンブラントは富や名声を得て弟子を持ち、肖像画の依頼もこなしていたが、晩年には没落。対照的に、ハルスは比較的穏やかな晩年を過ごしたようだ。ちなみに、レンブラントは1000ギルダー紙幣の肖像だった。
オランダは歴史のある国だが、隣国ベルギーのようなヨーロッパの重苦しさは感じられなかった。今でも反日感情が強いものの、想像以上に開放的で筆者にとっては非常に居心地がよかった記憶がある。明治政府とオランダが1912年に締結した「日蘭通商航海条約」によれば、日本人は労働許可なく就労できるそうなので、オランダは将来の移住先の候補地かもしれない。現地で使われなくなったギルダー紙幣を見ながら、ぼんやりそう考えた。

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