【USD】ドル高・円安予想の延命

 2016年の年賀状に「今年も2015年同様にドル高・円安基調が続く」と書いた理由は、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げと日銀による追加金融緩和の観測で、日米金利差をにらんだ取引が基本になると予想したからだ。日銀のマイナス金利は想定外だったものの、見込み通り一応追加緩和に踏み切った。一方、年初からの市場の混乱でFRBの利上げペースは鈍化が見込まれたためにドル買い意欲は薄れ、予想に反してドル安・円高となっている。
 今年11月8日に行われる米大統領選に向け、民主、共和両党とも指名争いが本格化するなか、民主党の有力候補であるクリントン前国務長官は「日本や中国などの通貨安政策により米国企業の収益は抑制されている」などと発言した。選挙戦が白熱化する過程でドル高・円安基調が続き、ドル・円が125-130円の水準で推移するなら候補者は為替を問題視し、選挙の材料にするだろうと筆者は予測していた。だが、2015年の下値支持線だった116円を割り込んだ水準であるにもかかわらず有力候補者がドル高・円安を批判してみせたことが、ドルを一段と押し下げた。
 こうした1月と2月の市場動向を踏まえ、2016年はドル安・円高基調との見方に修正しようかと思った矢先、2月26日発表の米2015年10-12月期国内総生産(GDP)改定値が年率換算で前期比+1.0%となり、速報値+0.7%から上方修正された。市場コンセンサスは+0.4%の下方修正だったため発表の内容はサプライズとなり、米追加利上げ観測が再燃。この日のドル・円は113円99銭まで上昇し、週明け以降は久々の114円台がみえてきた。3月4日発表の米2月雇用統計が堅調な内容となれば、3月の米追加利上げに期待が高まり、再び116円台に乗せる可能性はあろう。
 ただし、市場の情勢は変化してきた。1月に発表された米国企業の決算では、これまで続いたドル高・円安の悪影響が意識され始めている。大統領選の候補者が主張しているように、今後はドル安・円高基調が歓迎されやすくなるだろう。実際、2月26日の米国市場でドル・円は上昇したのに、株価指数のダウとS&Pは下落した。一方、日本株は米国株に連動する特徴があるので、下落基調になりやすい。つまり、筆者の当初の予想通り、目先ドル高・円安基調が続いたとしても、2012年からの円安・日本株高トレンドの持続とはなりにくい。株価が上昇しなければ、ドル安・円高は避けられなくなるかもしれない。

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