【GBP】「政治通貨」の本領発揮、ポンド急落は回避

 ポンドにとって英国の政治情勢は主要な変動要因だと改めて認識せざるを得ない。キャメロン首相が欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票の実施を発表すると、次の首相の座を狙うジョンソン・ロンドン市長は間髪を入れずに離脱支持を表明した。それに対し、キャメロン政権は、2月26-27日に中国・上海で開かれた20カ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)を巻き込んでジョンソン氏を封じ込めようとしている。
 G20の声明には、6月の国民投票で英国がEUを離脱することが決まれば、難民問題とともに世界経済の混乱要因の1つになると指摘している。当初、この問題に関しては具体的に言及されていなかったが、オズボーン財務相をはじめ英国政府の主張によって最終的に声明に盛り込まれた、と複数のメディアが報じている。これはまさに、英国人が得意とする政治的な立ち回りと言えるのではないか。
 ジョンソン氏の離脱支持により「ブリグジット」に現実味が増したことから、ポンドは2月22日以降、全面安の展開になった。対ドルでは1980年代半ばからの下値支持線である1.4ドルを割り込み、対円では2013年10月以来の安値圏まで下げている。確かに、この問題で英国とユーロ圏への関心が高まり、ポンドとユーロは売られている。国際金融市場は中国経済の減速懸念や原油安など大きなリスク要因と対峙しているため、英国のEU離脱などの問題はできるだけ回避したいというのが市場のほぼ一致した考えだ。
 しかし、英国のEU離脱問題は、「キャメロンVSジョンソン」の権力争いという側面があることは明白だろう。今後のポンドの値動きは、両政治家による駆け引きによって決まっていく、との視点で見つめても面白いのではないか。国論を二分するといわれるこの議論は、英国とユーロ圏の双方にとってダメージが大きい。自国の国益最優先の英国民が、そもそも不利になるような選択をするわけはないと筆者は考える。

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