【USD】エンタメ化した米大統領選「政策論議」

 「トランプ氏は手が小さい」(ルビオ)、「これを見ろ、どこが小さいのだ?!(トランプ)」――米大統領選の各党指名争いが白熱している。といっても、共和党の場合は候補者による政策論戦ではなく、ののしり合いに終始しているように思う。
 小泉純一郎元首相は在任中、「総理大臣など誰でもできる」とうそぶいていた。優秀な官僚がサポートしてくれるからだという意味に受け止めた。その後の日本の政権をみると、確かにそんな気もするが、米大統領となるとそうはいかないと思っていた。度重なるディベートを勝ち抜くための知力、語彙力、記憶力など、いわば強靭な賢さが求められる。大統領選を長年ウォッチしてそう思ってきた。オバマ大統領でその印象が強められたのかもしれない。しかし、まだ予備選段階とはいえ、現在の共和党サイドの指名争いをみていると、「まともではない」という感想を抱く。
 一方、まだインテリな民主党では有力候補のクリントン前国務長官が、中国や日本などアジア諸国による通貨安政策を批判する内容のレポートをあるメディアに寄稿したことが先日話題になった。また、トランプ氏も貿易に関して中国、メキシコと並んで日本を度々名指しして攻撃している。しかし、特にこちらはいわば、「コブラツイスト」や「4の字固め」といった観客をわかせるためのプロレス技のようなものだ。市場はいちいちそういう発言を捉えて考えたり、シミュレーションしたりする必要はあるのだろうか。
 今後、民主、共和両党の候補者がそれぞれ一人に絞られれば、通貨政策をテーマとした論戦も繰り広げられるだろう。ただ、その場合、どちらの候補が米国経済を浮揚させるための説得力ある政策を持っているかではなく、どちらが通貨安政策を強く批判できるかを競い合うことになるのではないか。

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