【EUR】チグハグな金融政策で方向感を失ったユーロ

 「ここまでやるか」――3月10日の欧州中銀(ECB)理事会後に発表された政策金利と資産買い入れの「大幅」増額など一段の緩和策は、中銀預金金利と資産買い入れ増額がベースという市場コンセンサスを上回る内容だった。これを見て筆者は、リスクオンのユーロ売り・ドル買い売りをきっかけに、ドル買い・円売りの展開になると確信し、その後予定されていたドラギECB総裁の記者会見を見ずにくつろいでいた。実際、この直後はユーロ売り・ドル買いに傾いた。
 2月26--27日に上海で開催された20カ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)前後に欧州金融当局者から、金融政策についてあまり期待するべきではないといった意見が何度か聞かれた。このため3月10日のECB理事会では「緩和策が市場の期待を下回ったことで失望を誘った昨年12月の理事会の時と同様の展開になる」と、邦銀のある外為ディーラーは予想していたし、筆者もその見方をベースにしてに基づき、ECBへの失望でリスクオフのユーロ買戻しは強まると予測した。だが、ECBの緩和策の内容を見て、真逆の予測をしたと反省した。
 翌3月11日の早朝、ユーロの値動きを確認すると、筆者が前日予測していた通りになっていた。ドラギ総裁が記者会見で、今後の緩和実施に否定的な見解を示したことが要因だった。昨年12月の理事会後、複数の欧州金融当局者は「(限定的な)現行の緩和策で十分」と発言していたが、年初からの市場の混乱が広がると、今度は緩和的な措置が必要と指摘。それが、G20前後には金融政策に期待するべきではないという声に変わり、3月10日は大幅緩和に踏み切りながら、ECB総裁は「一段の利下げは想定していない」と発言。ECBの金融政策の方向性は「読みにくい」というよりも「失われた」と見るべきだろう。
 ECBだけではない。米連邦準備制度理事会(FRB)は昨年12月、2006年6月以来、9年半ぶりに利上げに踏み切ったが、その後のスタンスは不明瞭だ。また、日銀は1月の金融政策決定会合で初のマイナス金利導入を決めたものの銀行株の下落にたじろぐ姿が鮮明だ。米欧日の中央銀行は、どうも政策決定には及び腰になっているように見える。欧州当局者が述べた「金融政策にあまり頼るべきではない」という発言は、確かにその通りかもしれない。

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