【TRY】「強権病」の大統領に屈した中銀

 トルコ中央銀行は3月24日、3つある政策金利のうち最も高い翌日物貸出金利を引き下げることを決定した。複雑な政策金利をシンプルにするのが狙いとしているが、強権的なエルドアン政権の圧力に屈した可能性は拭えない。トルコリラ(TRY)は対ドルでいったん下げた後、様子見の展開だ。
 トルコの政策金利は基準となる1週間物レポレート(7.50%)のほか翌日物貸出金利(10.75%)、翌日物借入金利(7.25%)の3種類ある。わかりにくいとの批判から、上限の翌日物貸出金利と下限の翌日物借入金利の格差を縮小し、今後1本化を目指すとしている。3月24日には上限の翌日物貸出金利を10.75%から0.25%引き下げ、10.50%とした。
 トルコの直近の消費者物価指数(CPI)は前年比+8%台と中銀目標の+5%を大きく上回っているため、本来なら利上げしてもおかしくなかった。しかし、中銀の政策決定が近づくと、「上限金利を引き下げる可能性がある」との大統領側近のコメントが通信社を通じて伝えられた。結果はその通りになった。これを受け、トルコリラは売られた後、1ドル=2.85リラから2.90リラの水準に戻しているが、週明け以降はリラ買いの材料は乏しい。
 中銀の政策決定後、エルドアン大統領の側近は、「もっと大幅に引き下げれば金融市場に評価されたはず」、「引き下げは不十分だ」などと語ったという。消費や建設投資をテコ入れするための「異次元緩和」を望んでいたエルドアン政権側は、今回の利下げという「プレゼント」が気に入らなかったようだ。トルコ中銀はこれまでも政権の政治圧力に屈し、格付会社が格下げした経緯がある。
 4月19日に任期切れとなるトルコ中銀のバシュチュ総裁にとって、3月24日は最後の政策決定だった。総裁が仮に続投となれば今後は利下げラッシュで長期リラ安基調は避けられない。それにしても、アジアの片隅に似たような国が1つある。

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