【ISK】「パナマ文書」受け首相辞任も下落は限定的か

 2008年9月のリーマン・ショックで国家破産の危機に陥ったアイスランド。通貨クローナ(ISK)は当時1ドル=60クローナから一気に150クローナまで大暴落したが、その後立ち直りをみせ、現在では120クローナ付近まで値を戻している。しかし、現職の首相による資産隠しが暴露され同国の政治情勢を揺るがす事態となっていることから、クローナの短期的な弱含みは避けられないだろう。
 租税回避地(タックスヘイブン)の利用者情報を明らかにした「パナマ文書」により現職のグンロイグソン首相が資産隠しに関与していたことが発覚。野党は首相の辞任を求め不信任案を提出したが、首相は「利益を得ていない」と違法性を否定した。しかし、急速に広がった有権者による抗議活動に抗しきれず、グンロイグソン首相は辞任を表明したと報じられている。アイスランドでは2013年4月の総選挙でグンロイグソン党首率いる進歩党が躍進し、中道右派の独立党と同数の議席を獲得したことで、進歩党中心の連立政権が発足した。グンロイグソン首相の後任には同じ進歩党の副党首、ヨハンソン農業相が就任する見通し。
 アイスランドはリーマン・ショックで金融危機に陥り、国家財政の破綻も懸念されていたが、その後、関係国の債権放棄や通貨安による輸出産業への恩恵で、デフォルトからわずか4年で債券の格付けを投資適格まで回復させた。今回、任期途中の首相が交代することで政治リスクが意識され、クローナは当面売られやすい。しかし、こうした早期決着を図ろうとする姿勢からクローナ売りはそれほど長引かないと思われる。
 ところで、1972年に当時のニクソン米大統領が選挙対策で野党・民主党の本部ビルに盗聴器を仕掛けるなどの政治スキャンダルをワシントン・ポスト紙が暴いた。ウォーターゲート事件である。2人の若手記者が真相に迫り、やがて米国史上で初めて現職の大統領を任期途中での辞任に追い込んだ。このスリリングな過程は「大統領の陰謀」として映画化もされ、世界中のジャーナリストに影響を与えた。
 それにしても、「パナマ文書」で世界的な政治指導者の名前が挙がりスキャンダルに発展しているが、政府要人が辞任に追い込まれたケースは初めてだ。今後、どのような為政者が関与していたのか明らかになっていくだろう。その経過を見守りたい。

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