【RUB】ルーブル安放置の理由

 各国指導者や著名人がタックスヘイブン(租税回避地)を活用した課税逃れなどを明らかにした「パナマ文書」に、ロシアの著名なチェリスト、セルゲイ・ロルドゥーギン氏の名が挙がり、親友であるプーチン大統領の関与の可能性が取りざたされている。プーチン大統領は疑惑を否定しているが、今年9月の議会選挙を控えており、有権者の目を逸らすために大胆な経済政策を打ち出す可能性もあろう。それによって通貨ルーブル(RUB)は大きく変動するかもしれない。
 「パナマ文書」は主に武器輸出に絡んでいると、ある政治家から聞き、なるほど最近のルーブルの値動はこれを裏付けているかもしれない。ロシアのウクライナ併合に対する2014年7月の欧州連合(EU)などによる経済制裁を受け、ロシアルーブルは大きく下落した。同年7月に1ドル=36ルーブルだったのが12月には当時の史上最安値80.02ルーブルまで下落。その後は原油価格の持ち直しで2015年5月には48ルーブルまで値を戻した。しかし、再び原油安に振れたため同年秋以降はルーブル売りが強まり、2016年1月には86.02ルーブルを付け、最安値を更新した。
 ウクライナ問題による経済制裁と原油価格の下振れでロシア経済が急減速したことは、主要な経済指標からも見て取れた。通貨安は景気低迷の大きな要因だったが、それでも通貨当局は特にアクションを起こさなかった。通貨安と原油安は1998年のロシア危機を想起させ、財政への影響も懸念された。ある外為ディーラーは、通貨安で原油輸出の恩恵を受けている可能性を指摘したが、なぜルーブル安を放置するのか筆者の疑問は残った。しかし、武器輸出のことを考慮すれば合点がいく。実際、「カラシニコフ」の製造は活況との報道もある。
 スウェーデンのシンクタンク、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が今年2月にまとめた世界の武器取引に関する報告書によると、2011-2015年の世界の武器輸出量は2010-2014年と比べ14%増加した。輸出国別では、33%でトップの米国に次いでロシアは25%を占めている。この報告書はあくまで取引量であって金額ではないので、正確な取引規模はわからないが、米国とロシアの2カ国で武器輸出の大半を占めていることは推測できよう。米ロの「冷戦」は、今後どのように進んでいくのか。

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