【INR】インドルピーの回復基調維持は困難か

 インドは他の国と異なり、政策金利が引き下げられると、株高を期待した資金流入でインドルピー(INR)は上昇する。インド準備銀行(中銀)は2015年に主要政策金利のレポレートを4回引き下げており、4回目の9月29日には7.25%から6.75%の大幅利下げとなった。これを受け、インド株の上昇期待でルピーは66ルピー後半から64ルピー後半まで押し戻した。
 逆に、株高が見込めないとルピーは下落する。この時の利下げによるルピー買いが一巡すると、2016年にかけては米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げムードを背景にドル買い・ルピー売りの流れが強まった。ドル・ルピーは2016年2月末に1ドル=68.90ルピー付近まで値を上げた(ルピーは下落)。2013年にFRBのバーナンキ議長(当時)によるテーパリング(金融緩和の縮小)への言及でドルは大きく切り返したが、ルピーはその時の水準を下抜けた。
 その後、インド準備銀行(中銀)は4月5日に主要政策金利であるレポレートを6.75%から6.50%に引き下げた。今回の利下げによって株高・ルピー高に振れたが、足元では66ルピー台で足踏み状態が続く。金融緩和の一方で国債利回りは8%前後の高水準だが、外国人投資家の購入が規制されており、株価が下げれば債券投資には向かわず資金は流出する一方だ。最近のルピーはまさにそういう状況にある。
 インド準備銀行は今月の利下げ実施の際、声明で緩和的なスタンスを維持するとともに、今後も利下げ余地が生じれば対応するとの方針を示した。ただ、ここ数週間で熱波により約160人が死亡したと伝えられる。6-9月のモンスーン期の雨量次第だが、今後は干ばつが深刻化すれば農作物の価格が上昇するため利下げ観測は遠のく。
 一方、原油価格がこのまま持ち直せば、利下げ観測後退の要因となろう。インドの場合、国内で消費される石油のうち8割を輸入に頼っているため、原油安により貿易収支の改善やインフレ抑制などの点で大きな恩恵を受けてきた。4月17日にカタールで開催された主要産油国の会合では増産凍結に関する合意が見送られた。世界的な供給過剰懸念は残るものの、足元の原油価格の底打ち感が広がるようだと目先はルピー買いを強めにくい。

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