【JPY】叶わなかった市場の「願望」

 4月28日昼すぎ、日銀が金融政策決定会合で現行の金融政策の維持を決定したと発表すると、日経平均先物とドル・円のチャートは長い縦線で急落を示した。こんな値動きは久々に見た。前週の4月22日の金融情報メディアによる報道をきっかけに、日銀による追加緩和への期待が高まっていたことが背景にある。
 この金融情報メディアは、27-28日開催の日銀金融政策決定会合で金融機関への貸し出しにマイナス金利の適用を「検討する案が浮上している」と伝えた。日銀は1月の決定会合で初のマイナス金利の導入を決めたが、金融機関の業績に影響が出るとの懸念から、マイナス金利導入の効果を高めるために今回こうした補完的な措置を講じる、と市場では理解された。これが引き金となり、一段の金融緩和への期待が高じた。
 問題の記事が配信された後、4月27-28日の決定会合の直前に旧知の市場筋に取材すると、ETFの買い入れ増額やマイナス金利幅の拡大なども日銀の緩和メニューに追加されるとの見立てだった。そもそも、ETFの買い入れは以前からの市場の「願望」であって、記事には言及されていない。それでも市場の「期待」は膨らみ続け、そして一気に破裂した。109円半ばから112円近くまで上昇した後107円台に急落したこの1週間のドル・円のチャートは、市場の心理をそのまま反映しているように見える。
 決定会合終了後に先の市場筋に連絡すると「日銀ではなく、書いた記者が悪い」と話していた。しかし、本当にそうだろうか。日銀が仮に今回緩和に踏み切ったとしても、1月の時と同様、一時的に円安に振れてもすぐに逆戻りしていたのではないか。
 一方、日銀の決定会合前に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明では、連邦準備制度理事会(FRB)は引き締め方針を示しながらも慎重姿勢は崩していない。早期利上げに消極的な書きぶりは、ドル売り材料に他ならない。また、28日夜に発表された1-3月期の米国内生産(GDP)は下振れ、米国経済の減速懸念も広がっている。例の観測記事は配信されてもされなくても、目先のドル安・円高基調には変わりはない。

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