【BRL】不透明な政治、不安定なレアル

 ブラジルレアルの堅調な値動きが続いている。2016年に入り輸入物価の上昇にもかかわらず中銀が利上げを見送ったことで、ドル・レアルは1月21日に4.17レアル付近まで上昇(レアルは下落)。しかし、その後は反落(レアルは反発)して、足元は3.43レアル付近で推移している。レアルはこの3カ月あまりで2割超も値を上げたことになる。
 レアルの堅調な推移は、ルセフ大統領の弾劾手続きの進行に連動しているように見える。2014年の大統領選を前にルセフ氏が国家会計の不正操作に関与したとの疑惑が強まり、今年1月以降、弾劾手続きが本格化した。与党各党が次々に連立を離脱。弾劾の是非をめぐる審議の下院通過に伴い4月26日には上院で特別委員会が設置され、審議入りした。ルセフ氏は5月11日ごろの採択で職務停職が決まり、最終的には失職する見通しだ。
 ただ、レアル上昇の主な要因は、米連邦準備制度理事会(FRB)利上げ観測の後退と原油価格の持ち直しだろう。FRBは昨年12月、9年半ぶりに金融引き締め路線に舵を切ったがその後が続かず、4月26-27日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合も利上げ見送りを織り込んでドル売り・新興国通貨買いに振れていた。また、米原油先物ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は2月の26ドル台から足元では46ドル付近まで、実に20ドルも回復。これらの要因がレアルを押し上げたとみられる。
 一方、ブラジル中銀は4月27日、市場の予想通り6会合連続で政策金利14.25%の据え置きを決めた。足元でインフレ率はピークを越えたものの、インフレ水準の高止まりを受け、中銀は景気の刺激に有効な利下げには否定的だ。レアルは目先も原油価格が手がかりとなりそうだ。大統領の交代で財政再建などへの期待は高まるかもしれないが、ルセフ氏の後任とみられるテメル副大統領もまた、汚職への関与が取りざたされている。ブラジルの政治情勢は、根本的には変わっておらず今後も不安定要因となろう。

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