【MXN】米大統領選への苦悩を反映

 米大統領選に向け共和党の正式候補として指名が確実視されるドナルド・トランプ氏がの悪名高い公約の一つに、メキシコに対してとの「国境の壁」建設がある。建設資金の拠出をメキシコ側が拒否した場合、米国内の不法移民による本国への送金を阻止する、などと明言している。日本から見ていると半分ジョークにしか受け止められないが、経済活動の結びつきが強い当のメキシコにとっては重大な問題だろう。メキシコ中銀のカルステンス総裁は4月12日、トランプ氏の発言を「メキシコ人に対する重大な権利侵害」と批判している。
 直近の米国内での支持率調査で民主党の最有力候補、ヒラリー・クリントン氏にトランプ氏が迫る勢いとの結果は、メキシコペソ(MXN)回復の大きな障害になっているようだ。米利上げ観測が徐々に後退するなか新興国通貨を買う動きが見られるものの、メキシコペソは出遅れ感が鮮明だ。メキシコは産油国の横顔を持つため年初の原油価格の大幅安によって国内経済の不透明感が強まり、2月上旬にペソは史上最安値となる1ドル=18.91ペソまで下落した。その後、原油価格の底打ちで4月20日には17.18ペソまで値を戻したが、足元では再びペソ安基調となり18.67ペソまで下げている。
 メキシコは1994年からNAFTA(北米自由貿易協定)に参加しており、米国との経済関係が強まっている。最近のデータによると、輸入比率は約5割、輸出は約8割を米国が占めている。米国経済の拡大を背景に成長が続いており、4月29日に発表された2016年1-3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前年比+2.7%と10-12月期の同+2.5%を上振れた。2016年は+2.8%、17年には+3.0%の成長が見込まれる。また、歳出削減にも乗り出す方針で、ファンダメンタルズからペソは売られすぎと市場ではみられている。足元の値動きは、米大統領選に対する苦悩ぶりを反映しているようだ。

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