【USD】2016年は利上げゼロに現実味

 6月3日に発表された5月の米雇用統計に関心を寄せていた人なら、結果を見てわが目を疑っただろう。前哨戦となった前日発表のADP雇用統計がほぼ予想通りだったことから、非農業部門雇用者数は市場コンセンサスの前月比+16万人程度と見込まれていた。ところが・・・。+3.8万人とは、「衝撃」を通り越した。失業率は前回5%、予想4.9%に対し今回は4.7%に低下したが、非農業部門雇用者数は3月と4月の実績も下方修正された。こうした内容は、誰も予想できなかったのではないか。
 これを受け、連邦準備制度理事会(FRB)が6月14-15日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げに踏み切るとの観測は吹き飛んだ。今回の雇用統計発表前までは、「6月が無理なら7月に実施する」(外為ディーラー)との見方もあったが、当然それもかき消された。今週以降、米金融当局者がどれほどタカ派的な発言を繰り返しても、年2回の利上げという市場コンセンサスは修正され、年内に1回実施できるかどうかに関心は移るだろう。
 「年内1回」といっても、政治日程を考えるとかなり困難だ。FOMCは夏以降には9月14-15日、11月1-2日、12月13-14日の3回が予定されている。議長の記者会見ありの会合だと、9月と12月の2回のみとなる。9月の会合では11月8日の大統領選を控え、候補者などから批判の対象となりやすいため利上げは難しい。そうなると、大統領選を終えた後の12月しかチャンスはないだろう。しかし、雇用統計が経済の遅行指数であるなら、米国経済はすでに下降局面に入ったとも考えられる。よもやの「利上げゼロ」に現実味が増しそうだ。

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