【CNY】英国民投票後は人民元買いか

 英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票で残留が決まった後は、どのような情勢になるのだろうか。短期的には米7月利上げへの期待感が高まり、ドル買いに傾くと見る。しかし、米大統領選の各党指名候補が決定するタイミングでの引き締めは候補者からの批判の対象になりやすく、現実的には困難だろう。結果として、徐々に新興国通貨買いが始まる可能性はある。
 英国民投票を通過すると、次の焦点は7月26-27日に米連邦準備制度理事会(FRB)が開催する連邦公開市場委員会(FOMC)だ。米大統領選の指名候補を正式決定する全国党大会の日程は、共和党が7月18-21日、民主党は同25-28日となっており、まさにFOMCの日程と重なる。地元メディアで本選は「クリントン対トランプ」と報じられているが、民主党はクリントン氏のメール問題が再燃する可能性も皆無ではない。共和党はここへきてトランプ氏の支持率急落で分裂の危機もささやかれ、候補者選びはむしろこれからが本番だろう。両党の候補者選びが難航すれば、FRBの利上げは批判の的になりやすく、7月は引き締めに適した環境にはならないと思われる。
 そうなると、マネーはドルから資源国や新興国の通貨に流入しやすくなるだろう。ただ、6月2日に開催された石油輸出国機構(OPEC)では主要産油国間で増産凍結への合意が見送られたことから、世界的な供給過剰の問題は残されたままだ。原油価格は5月まで持ち直した後、英国民投票を前に足元はリスク回避的な動きから売り優勢の展開となっているが、英国の残留が決まっても原油価格の上昇は限定的とみられる。このため、カナダドルや豪ドル、NZドル、ノルウェークローネ、ロシアルーブルなどにはそれほど買いは見込めない。
 新興国についても、買いやすい通貨はあまり見当たらない。ブラジルレアルには政治リスク、トルコリラは政治リスクと利下げ観測でともに買いづらい。メキシコペソは「トランプ大統領」となった場合には米国との関係悪化が見込まれ国内経済への影響が懸念されるだろう。また、南アランドはリスクの低下で相関性の高い金が売られやすく、ランドを押し下げる可能性がある。インドルピーは干ばつで利下げ観測は遠のいている。残るのは中国人民元ぐらいだ。中国経済の減速懸念に変わりはないが、消去法的に「逃避先」として選好される可能性はあろう。

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