【GBP】ポンドは死なず

 2014年9月に行われたスコットランド独立の是非を問う住民投票では、投票に近づくにつれ独立支持が勢いを増したが、接戦の末、残留支持が勝利した。6月23日の欧州連合(EU)離脱を争点とした英国民投票でも、スコットランドと同様の展開になると考えても不自然ではない、と大半の市場関係者は考えたはずだ。筆者もその1人だった。
 6月24日の世界の金融市場は、市場心理を顕著に反映した相場展開となった。特に、ポンド・円は、開票が進み離脱支持が残留支持をリードする状況が伝えられると、160円19銭から133円31銭まで急落した。いや、数時間で26円88銭(約20%)という下げ幅を考えれば暴落というレベルだろう。
 ポンド・円のここ5年の年間の値幅は、2011年から順に15円21銭、10円91銭、26円99銭、20円77銭、13円38銭。つまり、24日のアジア市場ですでに1年分の値動きを記録した。
 24日の日中取引でポンド・円のチャートを追いながら、このまま長期的なサポートラインとみられる120円ぐらいまで下げるかな、とも思った。しかし、24日のオーバーナイトでは133円38銭まで下げた後、139円64銭まで値を戻した。英中銀をはじめ主要国政府・中銀が市場の混乱を鎮静化しようと流動性供給など対応策を打ち出したためだ。
 各国の通貨の値動きはもちろん需給で決まるのだが、その国の国民性を反映しているように見える時がある。ポンドには、売られても、売られても、様々な材料を手がかりに浮揚してくる「したたかさ」を感じる。有権者の選んだ政治家が中銀総裁を決めるのだから、通貨が国民性を反映するとの見方はあながち間違いとも言えないだろう。
 そう考えると、ポンド・円は今後、思ったよりも早期に持ち直すのではないか。国民投票の結果を受け、EU残留支持を訴えてきたキャメロン首相は辞意を表明。いち早く離脱支持を打ち出した、知名度や人気の高いジョンソン前ロンドン市長が後継首相の候補に名が挙げられている。
 接戦となった国民投票で仮に残留支持が決まったとしても、離脱支持の不満は政局リスクの火種として残ったはずだ。英国経済が今後どうなろうと、EU離脱は民意だ。政治家は合意を形成しながら国家を運営し、国際社会ではこれまでと変わらずうまく立ち回るだろう。つまり、ポンドは死なず。

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