【USD】「有事のドル買い」の有効期限

 欧州連合(EU)離脱の是非を争点とした6月23日の英国民投票でのEU離脱という予想外の結果を受け、24日の世界中の金融市場は歴史的な大相場となった。特徴的だったのは「有事のドル買い」がみられたことだ。ポンドやユーロをはじめとする主要通貨から逃避したマネーは、安全通貨であるスイスフランや円などでは収まりきらずドルに流入した、と考えられる。ドル・円が24日の取引で2013年11月以来、2年7カ月ぶりに一時100円を割り込んだ後103円を回復したのは、このドル買いフローが背景にある。
 24日のアジア市場では、ポンドは対ドルで14%、対円では20%も下落し、ドルと円へのマネーの逃避が顕著だった。一方、ドル・円は106円84銭から99円02銭まで9%下げた後、103円台を回復。オーバーナイトでは円高に振れやすい展開だったものの、前日比3.6%安の102円27銭まで値を戻した。リーマン・ショック時並みに大きな下げ幅となったが、90円台半ばまで下げるというような極端な値動きにはならなかった。米国株は大幅安だったものの下げ幅が日本株やドイツ株、フランス株ほどではなかったことはドル売りを弱める要因となったようだ。
 6月28日以降の金融市場も警戒感は続くだろうが、早期利上げ観測の後退を背景に米国株の下げが小幅にとどまれば、ドル・円は100円台を維持できるのではないか。最近ではリスク回避的な状況で円が買われるケースが多いが、戦争など世界的な危機が迫ると基軸通貨のドルが買われる「有事のドル買い」が復活しており、ドル・円の下値をサポートしそうだ。
 ただ、今回の「有事の――」は長続きしないかもしれない。7月に入ると、米国企業が4-6月期決算を発表する見通しだが、アップルなど主要企業は今年に入り低迷ぶりが目立っている。企業業績が改善しなければドルに買いは入りづらくなるため、ドル・円がこのタイミングで再び100円を割り込む可能性はあるだろう。

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