【TRY】外交努力で下げ渋るか

 トルコがイスラエルやロシアと相次いで国交正常化を進めており、今後は国内経済への好影響を見込んだトルコリラ買いが入る可能性がある。リスクの大きい新興国通貨は英国の欧州連合(EU)離脱を受けた不透明感で本来なら敬遠されがちだが、足元では逃避マネーが流入しているもようだ。米利上げ観測への悲観的な見方もありトルコリラは底堅い値動きとなりそうだ。
 トルコとイスラエルは6月27日、2010年にパレスチナ自治区ガザ地区への支援物資の運搬船をイスラエルが襲撃し、トルコ人が死亡した事件をめぐり悪化していた両国間の関係を正常化すると発表した。軍事面だけでなく天然ガスの共同開発が期待される。トルコは、昨年11月のトルコ軍によるロシア軍機撃墜に関してロシアとも関係改善を急いでいる。影響の大きい観光産業などがテコ入れされる見通しで、こうした外交努力によりトルコ経済回復に期待したリラ買いが想定される。
 ドル・トルコリラのレートは、昨年8月の金融市場の混乱や米利上げ観測を背景に上昇基調(トルコリラは下落)となり、史上最安値圏での推移が続いている。また、最近でも首相が交代したほかトルコ中銀への利下げ圧力などが指摘され、エルドアン大統領の強権ぶりが問題視されていた。政局リスクはリラの押し下げ要因であることに変わりはないが、目先は外交成果が評価されよう。
 一方、連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ観測は後退する一方で、年内1回という市場コンセンサスを実現できないとの見方もある。英国のEU離脱を背景とした市場の警戒感は弱まっていないが、欧米からの逃避マネーが新興国通貨、特にトルコリラに流入し、相場を押し上げる可能性はあるだろう。
 ただ、原油価格が最悪期の1月、2月から2倍以上となり、持ち直しが続いていることがトルコ経済のリスクとして懸念される。ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)が足元の50ドル付近を上抜けて一段高になるようだと、経済への影響が意識されるかもしれない。

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