【JPY】介入はドル90円以下か

 英国の欧州連合(EU)離脱を決めた国民投票後、外為市場は一段の円高に振れており、改めて日本の通貨当局による為替介入のポイントが意識され始めた。6月24日の取引でドル・円は2013年11月以来、2年7カ月ぶりに心理的節目の100円を割り込み、一時99円02銭まで下落。日本の外為関係者の間では1ドル=100円を割り込んだら介入と考えられてきたが、99円02銭までの円高で特に介入の気配がみられなかったため、通貨当局への期待はますます低下しているようだ。
 英国民投票から2週間あまりの間、財務省、金融庁、日銀の3者による協議は2回開かれた。当局者による口先介入だけだと「口先ばかり」だと批判されかねないので、実際に3者が集まると、「円高阻止に向け何か対策を協議している」との印象は受ける。ただ、7月8日午前に開かれた協議の後、財務官の発言は「投機的な動きがあれば対応する」「緊張感を持って為替市場を注視する」との決まりだけだったため、この時のドル・円の押し上げ効果は10銭あまりにとどまった。
 米連邦準備制度理事会(FRB)による年内利上げ観測は後退しており、ドル・円の下落は2016年後半も続く見通しで、国内企業の想定レートを下回るだろう。主要な自動車メーカーは今期の想定レートを105円としているが、これはあくまで輸出入を行う企業が業績見通しや事業計画を立てる際の目安のレートであり、採算・不採算の分かれ目はもっと円高方向とみられる。東日本大震災後の超円高局面では野田政権が為替介入に踏み切っているが、2012年2月の衆院予算委員会で当時の安住淳財務相は、こう答弁した。
 「(ドル・円が)75円63銭の時点で、私としては、これは介入をしないと日本経済にとって大きな危機的な状況が及ぶということで介入を指示いたしました」(衆議院ホームページより引用)
 この答弁から、2012年当時の日本経済は75円半ばが円高の限界だったと推測できる。現在の日本企業はここ数年の円安で体力がついたはずなので、さらに円高になっても耐えられると米国サイドからみられているのなら、日本の為替介入は90円台では難しいのではないか。仮に単独介入に踏み切っても、国際金融市場での円買いという津波に飲み込まれる可能性がある。ポンド安阻止に向けた協調介入でないと、円高トレンドを反転させることは難しいように思える。

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