【TRY】クーデター失敗でも政権に痛手

 トルコ政府は15日、軍部による政権転覆を狙った事件が発生したことを認めたうえで、治安部隊を動員して鎮静化に努めている現状を説明した。これに先立ち、軍部とみられる「平和評議会」が国営テレビ局を占拠し、エルドアン政権を批判し、新憲法制定を準備しているとの声明をアナウンサーを通じて発表した。こうした事態を受け、トルコリラ(TRY)は急落した。
 エルドアン大統領は2003年3月、トルコ首相に就任すると公約通りに改革を進め、経済成長を促進させた。2007年の総選挙でも、所属している公正発展党(AKP)は支持を広げ、政治的混乱は解消したかに見えた。しかし、ジャーナリストの投獄といった、自ら推進した民主化に矛盾する事件が2011年ごろから相次ぎ、当初の人気は落ちていった。2014年、初の大統領選に挑み当選したが、翌2015年6月の総選挙でAKPは過半数を割り込んだ。そこで従来のクルド人への融和策などを転換し、目論見通り支持率を回復。同年11月の再選挙では過半数を確保した。
 中東諸国と良好な外交関係を構築して貿易を拡大し、軍部の介入を排除して政局を安定させたことなどがエルドアン氏の功績だろう。最近ではイスラエルとの関係も改善している。一方で、近年はツイッターなどSNSから国民を遠ざけるなどの政策を推進。また、中銀に利下げを要求したことで、2015年には中銀の独立性への懸念からトルコ国債が格下げされたこともあった。今回のクーデターも、こうした強権的な政治スタンスに対する不満が高まったことによるものと推測される。
 トルコの混乱を受け、リラは対ドルで5%近く急落し、1ドル=3リラ付近を付けた。実際の状況は把握しきれないが、クーデターが成功したのであれば、リラは暴落するだろう。だが、仮に失敗に終わった場合でも、かえってエルドアン政権は盤石になるとは考えにくい。クーデターが起こるような国への投資が控えられることは明白で、リラは当面買われない通貨になる可能性があろう。クーデターを制圧することはできても、通貨安に歯止めをかけることは難しい。

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