【MNT】モンゴル新政権は通貨安に苦慮

 欧州連合(EU)離脱を決めた英国民投票による混乱の渦中にあった6月30日、モンゴルでは政権交代に沸いていた。その前日に行われた議会選挙(1院政76議席、任期4年)で、最大野党モンゴル人民党が地滑り的大勝利を収めたからだ。一方、国内経済を混乱に陥れた民主党はサイハンビレグ首相が落選するなど惨敗。ただ、新政権発足後も経済の混迷は深まるばかりで、日本への影響も軽微とはいえないだろう。
 モンゴル中央銀行は今年5月に政策金利を10.5%に引き下げたことを受け、モンゴル通貨ツグリク(MNT)の下落基調が強まった。同中銀は8月18日、今度は通貨防衛のため一転して政策金利を15%に引き上げた。この利上げでツグリクは対ドルでいったんは上昇したものの、経済の混乱が嫌気され、反落した。翌19日には米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がモンゴルの格付けを「B」から「Bマイナス」に引き下げた。投資対象として「安定的」ではあるが、財政赤字の深刻化が指摘された。ツグリクは5月末から2カ月間で20%程度下落。足元では1ドル=2230ツグリク付近で下げ止まっているようにみえるが、先安観は強い。
 モンゴル経済は、リーマンショックで大きなダメージを受けたものの資源高を背景に持ち直し、2011年には経済成長率は実に17.5%に達した。当時モンゴルは銅、ウラン、石炭など豊富な資源により今後数年間でチリに次ぐ世界第2位の銅輸出国に成長するとの見通しから、2012年に初めて国債を発行した。しかし、資源価格が大きく落ち込み、同国経済は予想外の減速に見舞われ、2015年の成長率は2.3%にまで低下している。来年から一部で始まる国債償還が今後大きな負担となって同国の財政を圧迫するだろう。6月に発足した新政権が今後、国際通貨基金(IMF)への支援を要請する可能性も取りざたされている。
 日本にとってモンゴルは重要な貿易相手国である。2012年に始まった経済連携協定(EPA)交渉はその後合意に達し、今年6月に発効した。EPAで日本から輸出する新車などが無関税となるほか、モンゴルでの資源開発が加速すると期待されている。2014年12月には日本の商社など体が、日本の石炭輸入量の30年分の埋蔵量とみられる炭鉱の優先交渉権を獲得。また、貿易だけでなく、モンゴルは北朝鮮との国交があるため、日本政府は拉致問題での仲介役として期待している。こうした役割を考えると、モンゴル1国の経済規模は小さいながら、東アジアの政治・経済においては重要な国だ。

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