【USD】「上海合意」解除?

 今年2月に中国・上海で開催された20カ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)の閉会後、参加国がドル安を容認することで一致したとのウワサが市場に広がりました。米大統領選や企業業績の伸び悩みからドル高政策を転換したい米国が提案し、日本を含む各国がそれを受け入れたとみられています。これは、1985年9月の日本、米国、英国、ドイツ、フランスの蔵相・中銀総裁会議で米国の貿易赤字是正に向け協調介入によるドル安に誘導した「プラザ合意」にちなみ、「上海合意」と呼ばれました。この合意が、10月6日のワシントンでのG20で解除されるのではないかとの期待が高まっています。
 「上海合意」の後、ドル・円は年初からの円高がさらに加速し、ドルは114円付近から下落。足元では100円台は維持しているものの円高基調が鮮明です。一方、英国の欧州連合(EU)離脱はこの時点で想定されていなかったのか、ユーロ・ドルは3月はじめの1.04ドル台をピークにドル高は修正されているものの、それほどドル安にも振れていません。また、ポンド・ドルは上海G20後に1.41ドル台から1.50ドル台まで上昇したものの国民投票後は急落し、1.30ドル台を割り込みました。つまり、G20後、顕著なドル高修正は対円ぐらいしかみられないのです。
 上海G20後に「合意」の存在を示すコメントなどは得られていないので、ドル高修正で一致したとの見方はあくまで市場の憶測にすぎないのかもしれません。ただ、2016年は120円台でスタートして2割も円高に振れているのに、米国サイドは「合理的な動きでないとは言えない」などとして日本の為替介入を封じ込めています。日米間の為替に対する認識の違いを考えれば、こうした国際政治力学による為替操作の可能性は否定できないのではないでしょうか。為替は日々の需要と供給で決まるものですが、長期的には政治力学で決定するものだと思うからです。
 ところで、ある外為ディーラーは、10月6日にワシントンで開かれるG20で、この「上海合意」が解除されると期待をしています。11月の大統領選で民主党のクリントン候補を担ぎたい米国政府は、ドル高政策を批判する共和党のトランプ候補に有利となる材料を与えないためにドル高を抑え込んできたとみられますが、大統領選終了が合意解除のタイミングになる、というのがこのディーラーの見立てで、G20で米国が合意解除を「許可」するという期待のようです。もっとも、直近の世論調査ではトランプ氏が優勢となっているので、残念ながら期待は実現しないのではないでしょうか。

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