【GBP】トレンドの判断は雇用の持続的改善

 6月23日に行われた欧州連合(EU)離脱を問う英国民投票から間もなく3カ月。予想に反した選挙結果は、金融市場を慌てさせ、混乱に陥れました。ポンドは対ドルで1.5ドル付近から1.3ドル付近まで一気に15%も下げ、足元も1.3ドル付近でもみあうなど低迷が続いています。最近の英国の経済指標は予想されていたほど悪化が示されておらず、投機的なポンド売りは後退したようですが、本格的な上昇トレンドに向かうにはなお時間を要するでしょう。
 9月に発表された英国の購買担当者景気指数(PMI)は建設業、製造業、サービス業がいずれも好調で、8月中旬に1.28ドル付近だったポンドは買戻しに弾みがつき、半月あまりで5%上昇、1.34ドル台まで値を上げました。英中銀は9月14-15日に開催した金融政策委員会(MPC)で市場の予想通り、金融政策と資産買取プログラムの据え置きを決定。ただ、カーニー総裁が記者会見で政策金利の引き下げを含む一段の金融緩和方針を打ち出したことでポンドは再び弱含んでいます。緩和方針の後退への期待が一部にあったため、失望のポンド売りに振れました。
 経済指標の上振れにより英国経済に関する過度な懸念は後退したかにみえたものの、カーニー総裁など英金融当局者はその後、議会証言でも英国経済の今後の見通しにかなり慎重な見方を示しており、EU離脱ショックの傷跡が相当に深いことをうかがわせます。通貨だけではありません。英国の代表的な株価指数FT100は選挙後6600ポイント付近に急落後、今度は8月にかけて6900ポイント付近まで切り返したものの株買いは長続きせず、失速しています。また、選挙前は1.37%台で推移していた英10年債利回りは足元で0.87%付近と、8月の0.52%付近からは持ち直したものの、低水準は続きそうです。
 国際通貨基金(IMF)が国民投票に先立ち、英国経済のEU離脱による影響を試算しています。それによると、2017年は貿易や投資が縮小し、2019年には国内総生産(GDP)は残留の場合に比べ5.6%減少すると分析しています。最近の経済指標ではさほど大きなダメージは示されていませんが、選挙結果を受け首相が交代するほどの「事件」だったのですから、わずか3カ月でそのダメージが確認できるとは思えません。米連邦準備制度理事会(FRB)が政策判断の材料としているのと同様に、遅行指数である雇用関連の指標の安定的な改善を見極められないとポンドの長期トレンドは判断できないでしょう。

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