【USD】大統領選後もドル100-105円か

 6月以降、ドル・円は100円を短期的に割り込む展開がみられましたが、9月は27日に付けた100円09銭が最安値となり、100円台を維持しました。米連邦準備制度理事会(FRB)による金利見通しの下方修正でドル売り基調が強まるなか、比較的底堅い値動きでした。来年の利上げペースが鈍化するとの観測が嫌気されており、ドルはもっと下げてもおかしくないのですが、この値動きは少し意外です。ただ、昨年までのドル高・円安トレンドを考えるとドル・円は100-105円のレンジが現在の日米間にとって、もっとも都合のいい水準にもみえます。
 ドル・円は2011年3月の東日本大震災を経て同年10月には最安値(円の最高値)となる75円32銭まで下落した後、2012年2月の76円台からドル高・円安トレンドに反転。2015年6月の125円半ばのピークまで上昇しました。3年半あまりで6割超のドル高が進んだことになりますが、2016年に入りアップルをはじめ米国企業の業績低迷を懸念したのか、米国政府はドル高修正に動き始めます。2月末に上海で開かれた20カ国財務相・中銀総裁会議(G20)後にドル安基調が強まった経緯から、この会議で参加各国がドル高是正を容認したとの憶測が広がりました。いわゆる「上海合意」です。
 日本政府は春以降に節目の110円を割り込んでも、米国政府との為替に対する認識の違いから介入できず、それを見込んだ海外勢がさらに円買いを進め、6月には欧州連合(EU)離脱を決めた英国民投票の結果を受け99円02銭まで円高が進みました。ただ、ドル・円の下落はそれ以上には進んでいません。7月以降、ドルは100円を割り込んでも短時間にとどまり、すぐに100円以上の水準に戻す展開となります。わりと下値は堅いのではないでしょうか。よく話す外為ディーラーを含め、このドル100-105円のレンジを意識している市場関係者は多いと思われます。
 大統領選前の円高リスク要因としては、10月31日-11月1日開催の日銀金融政策決定会合が考えられます。9月20-21日の会合ではマイナス金利の拡大を見送りましたが、次回の会合では深掘りの可能性があるためです。金融機関の業績への影響や日銀の政策手詰まり感といった理由のほか、日銀の政策変更や日銀総裁発言の後は「とりあえず円高」と話す市場関係者もいます。とはいえ、この時もドル・円は「大統領選を控え積極的な売り買いは手控えられる」との理由で極端な円高は進まず、100円台を維持すると予想します。
 米国にとっては株高を維持したいとの思惑があり、これ以上ドル安になって株価が下げるのは好ましくないと思われます。一方、日本にとってはドル100円を割り込むと心理的な動揺が広がるため、何とかこの水準を守りたいでしょう。そう考えた場合、11月8日の大統領選でクリントン候補が選出され、12月13-14日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ決定でドル上昇というシナリオはあまり現実的とは思えません。つまり、米国政府の思惑通りクリントン氏の勝利でも、金融引き締めは見送られる可能性はあります。

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