【MXN】「トランプ大統領」なら・・・汗

 9月26日に行われた米大統領選候補者討論会の終了後、民主党クリントン氏の共和党トランプ氏に対するリードが伝わると、ドル・メキシコペソ(MXN)は急落(ペソは急騰)、19.92ペソ付近から19.50ペソ付近まで値を下げました。「国境の壁」の建設とその資金を拠出させるなどの対メキシコ「政策」を掲げているトランプ氏の本選敗北を見込んだペソ買戻しがその要因です。
 メキシコは1994年からNAFTA(北米自由貿易協定)に加盟し、カナダや米国との経済関係を構築させました。対米貿易の輸入比率が約5割、輸出は約8割に達しており、メキシコにとって米国との関係悪化は経済成長の大幅後退を意味します。トランプ氏は8月31日にメキシコを訪問し、エンリケ・ペニャニエト大統領と会談。その後の記者会見では「メキシコ系アメリカ人に非常に強い愛情を持っている」と述べたようです。もちろん、それによってトランプ氏に対するメキシコ国民の不信感が和らぐわけもなく、かの「政策」は嫌気されたままです。
 産油国でもあるメキシコは、原油価格の弱含みと米大統領選の不透明感から通貨が大きく売られる地合いが続き、足元は史上最安値圏で推移し、1ドル=20ペソに接近しています。クリントン氏のテレビ討論勝利でいったんドル売り・ペソ買いに振れたものの、ペソには下方圧力がかかりやすく、再び弱含んでいます。このため、メキシコ中銀は9月29日に政策金利を引き上げ、ペソ安に歯止めをかけるのに躍起です。1980年代と1990年代の2度の通貨危機はインフレが原因だったため、とりわけインフレを誘発しかねないペソ安を回避したいとの姿勢が感じられます。
 石油輸出国機構(OPEC)が9月28日に開催した非公式協議では、市場の予想に反して産油国が減産で合意したことで原油価格の下落はひとまず収束し、ペソ安要因は1つ減りました。あとは米大統領選ですが、テレビ討論会は10月9日と19日にも予定されています。支持率調査でクリントン氏のリードはそれほど大きいわけではなく、トランプ氏巻き返しのチャンスはあり、予断を許さない状況です。ペソ買戻しはまだ早いと思われます。それにしても、最初のテレビ討論会にペソがこれほど反応するとは思いませんでした。
 もし、本選でトランプ氏が勝った場合、メキシコは通貨危機再来ということになるのでしょうか。もちろん、メキシコだけにとどまらず、「トランプ・リスク」は国際金融市場にとって、6月の英国民投票並みのインパクトをもたらすことは確かです。

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