【USD】クリントン勝利のシミュレーション

(2016年11月7日現在の観測)
 8日に行われた米大統領選で接戦の末、民主党ヒラリー・クリントン候補が共和党ドナルド・トランプ候補を破り、来年1月に第45代大統領に就任することが決まりました。結果を受け、外為市場ではドル買いが強まり、一時106円台まで上昇しました。しかし、同時に行われた連邦議会選挙では上下両院で引き続き共和党が過半数を占め、今後の政策運営への懸念からドルは急落しました。
 クリントン氏の勝利という市場が描いていたシナリオ通りの結果となり、イベント通過による安心感からドル・円はいったん上昇し、104円付近から一時106円台まで値を切り上げました。11月4日に発表された米10月雇用統計は非農業部門雇用者数が予想を下振れたものの想定内となり、また失業率が前回から改善したことを受け、連邦準備制度理事会(FRB)が12月13-14日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で1年ぶりの利上げに踏み切ると見込んだドル買いが強まったからです。
 しかし、議会選で引き続き共和党が上下両院で過半数を占める見通しとなったことで、ドルは上昇一服後下げに転じます。現在は上下両院はいずれも共和党が過半数を占めており、与党である民主党の獲得議席が過半数を超えるか注目されていました。上院は100議席のうち34議席、下院は全435議席が改選となり、民主党は上院で5議席、下院で30議席を上積みできれば多数派を奪還できる計算でした。ところが、連邦捜査局(FBI)によるクリントン氏の私用メール問題の捜査再開(訴追見送り)の影響で、上院では民主党が逆転すると期待されたものの最終的には議席を増やせませんでした。また、捜査の結果次第では今後の混乱が予想されるリスクもあります。
 こうした選挙結果を受け、クリントン次期大統領の政策運営には序盤から行き詰りが予想されています。ドルは上昇後に売りが強まり、ドル・円は106円台から再び104円台に押し戻されました。また、ユーロ選好地合いとなり1.1400ドル台まで水準を切り上げたほか、ポンドやスイスフランなど欧州通貨も連れ高しています。さらに原油など資源価格がドル安に反応して上昇しており、豪ドルやNZドル、カナダドルなど資源通貨が強含んでいます。原油価格の上昇はロシアルーブルやブラジルレアル、メキシコペソを押し上げており、新興国通貨の買戻しに波及しています。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする