【JPY】マシな米大統領で円高回避

 米大統領選は想定を超える大接戦の末、共和党候補ドナルド・トランプ氏が民主党候補ヒラリー・クリントン氏を下しました。クリントン氏優勢という選挙前のメディア報道と異なる結果が出るなか金融市場は一時的に荒れ模様となりましたが、現時点では「ブレグジット」ほどの混乱はみられません。
 大統領選の開票作業が進むにつれ、クリントン氏優勢からトランプ氏逆転の可能性が高まると急速にリスク回避の動きが強まり、ドル・円は105円半ばから一時101円20銭付近まで下落しました。しかし、欧州連合(EU)離脱を決めた英国民投票の際の106円後半から99円付近までの急落に比べれば「混乱」とまでは言い難いでしょう。トランプ政権の枠組みについてはまだ不明確ですが、ドルは足元で110円回復を目指すまで水準を切り上げています。今後は日米関係を反映した値動きとなるでしょう。
 では、その日米関係はどうなるのでしょうか。環太平洋経済連携協定(TPP)や沖縄の米軍駐留といった大きな懸案を抱えており、メディアで日米関係の将来を案じるコメントも散見されます。ただ、戦後70年以上の日米関係を振り返ると、共和党政権は日本に対し割合好意的に接してきた経緯があります。レーガン・中曽根時代、ブッシュ・小泉時代はいずれも共和党政権だからこそ構築できた関係でしょう。日本に対する要求が厳しいのはビル・クリントン時代に象徴されるように、むしろ民主党政権の方です。
 その意味では、日本にとってはクリントン氏よりもトランプ氏で良かったと言えるのではないでしょうか。アジア政策についてはまだ不透明ですが、中国と日本のどちらを重視するのかがカギを握ると思われます。今月17日のトランプ氏と安倍晋三首相との会談で、日米関係の重要性を確認できれば、金融政策などはそれに付随する問題として処理されるはずで、極端な円高や円安に振れるとは考えにくいということです。安倍首相が今年9月の訪米でクリントン氏だけに会ったことをトランプ氏は忘れないでしょうが、寛容な対応をとると考えます。
 大統領選を改めて考えてみると、民主党から共和党への単なる政権交代だったと言えるでしょう。連邦議会選は共和党が多数派を維持しましたが、それも次の中間選挙まで続くかどうかはわかりません。民主党が今回の敗北を糧に4年後、または8年後に党勢を回復できれば、それはそれで健全な国である証明です。健全でないのは、トランプ氏を「非インテリ」だから大統領に不適格と決めつけてきた有力メディアではないでしょうか。米国の主要なメディアは「勉強ができるだけの愚人」になっている自らを大いに反省する必要がありそうです。

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