【ILS】トランプ政権に翻ろう

米大統領選後に上昇基調が続いていたイスラエル通貨シェケルは、ここへきて伸び悩んでいます。「救世主」と期待されたトランプ米大統領の対イスラエル政策が不透明なためです。今後の中東和平に絡む神経質な問題も予想され、株高や通貨高の軌道に乗るには時間がかかるかもしれません。

国連安全保障理事会は昨年12月23日、イスラエルによる東エルサレムを含めたパレスチナの占領地でのすべての入植活動に関し、即時完全停止を求める決議を米国以外の全14カ国が採択しました。オバマ前政権は、イスラエルの占領地における新たな入植活動について批判を繰り返し、米国はこの決議に拒否権を行使せず棄権する異例の事態となり、採決の実施を事実上容認しました。トランプ大統領は選挙戦でもイスラエル寄りの発言を繰り返し、就任後の政策転換をほのめかしていました。

波紋を広げたのは、現在テルアビブにある米国大使館のエルサレムへの移転についての言及です。イスラエルは1948年の第1次中東戦争で西エルサレムを獲得し、その後67年の第3次中東戦争で東エルサレムを併合しています。パレスチナ側は、東エルサレムを将来の首都とする方針を変えておらず、エルサレムの帰属に関しては今後の和平交渉を通じて決められることになっています。このため米国大使館の移転問題は、イスラエルとパレスチナ側の関係悪化から中東情勢の安定化を一気に崩す可能性があります。

トランプ政権の米国を後ろ盾とみたイスラエル政府は1月31日、エルサレムを含むヨルダン川西岸地域に入植者向けの住宅を建設する計画を承認。ところが、トランプ政権は2月2日、イスラエルの動きに対して和平を実現する目標の「助けにならない」との声明を発表し、この問題にやや距離を置き始めました。トランプ大統領就任後、イスラエルとの初めてとなる2月15日の首脳会談は金融市場でも注目されています。

イスラエルの株価指数、テルアビブ25は昨年11月の米大統領選でトランプ氏が選出された後、対米関係改善を期待した株買いで1387ポイントから12月末の1480ポイントまで上昇が続きました。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ方針継続を背景にドル高に振れやすいなか、シェケルは底堅い値動きとなり、足元では2015年以降の上値抵抗ラインとして意識される1ドル=3.75シェケル付近まで上昇しています。

ただ、年明け以降はネタニヤフ首相の汚職捜査の本格化で、イスラエル経済に先行き不透明感が広がり株価が失速し、シェケルは伸び悩んでいます。中東和平に対する懸念も市場の不安を高めており、目先は様子見ムードが強まりそうです。

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