【JPY】円高トレンド突入

2012年12月の安倍晋三首相の第2次政権発足と同時にスタートした「アベノミクス」。4年あまりが経過し、終えんを迎えつつあるようです。アメリカと日本の両国で政権運営が弱体化する見通しのためです。アメリカは貿易不均衡の是正に乗り出し、通貨安誘導の日本に対する攻勢を強めるでしょう。

アメリカの医療保険制度改革(オバマケア)の撤廃は、今年1月に就任したトランプ大統領による政策運営の最初の関門として注目されていました。オバマケア撤廃でねん出した費用を減税の財源する方針で、トランプ大統領が表明していた「驚くべき減税策」は撤廃とセットのものでした。ところが、支持を集められずに代替法案を撤回するよう共和党幹部に指示。オバマ前大統領がちょうど7年前にこの法案を成立させた3月23日にひっくり返そうとしたトランプ大統領の目論見は徒労に終わりました。

 そればかりか求心力の乏しさが鮮明になり、かえって自身の窮地を際立たせてしまったようです。しかし、これがトランプ政権の現実で、支持率37%という政権基盤の弱さを露呈しています。今後与野党間で法案の修正協議を重ねる見通しですが、減税による成長期待を先取りしていた外為市場ではすでにドル売りに振れています。連邦準備制度理事会(FRB)がすでに金融引き締めサイクルに入り、ドルを浮揚させる力を失っていることでドル売りを弱められなくなるでしょう。

 一方、政権運営に暗雲が広がっているのは日本も同じです。大阪市の学校法人「森友学園」理事長が安倍首相サイドから受けたとする寄付金をめぐる問題で、首相夫人の関与が取りざたされています。理事長1人を国会で証人喚問し、しかも発言内容を虚偽と一方的に決めつける進め方に不備があるのは明白です。このまま幕引きをすれば、豊洲移転問題ですでに厳しい情勢となっている東京都議選で自民党の惨敗は必至と思われます。また、2018年12月までに行われる次期総選挙に向け、解散カードを切ることも難しくなります。

こうした政治情勢が嫌気されれば、本来なら円は売られるのですが、為替は日本政府の望まない方向に進むため円買いが強まるとみられます。アメリカと日本は4月に日米経済対話を実施する予定です。アメリカは対日貿易赤字の是正を目指し、日本側の為替政策の変更を求めてくる可能性があります。2月10日の日米首脳会談では日本に対する露骨な批判は聞かれなかったものの、政権の命運がかかる現状でアメリカ側は一変して強硬な態度に出ることが予想されます。日銀を通じた通貨安誘導により株価を押し上げてきたアベノミクスが封じられるのは時間の問題となりそうです。

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