【GBP】スコットランド・リスクは後退か

6月8日に行われたイギリス総選挙の結果から、ポンド売り要因の1つとなっていたスコットランド独立リスクは後退した、と言えるのではないでしょうか。独立運動の中核組織でもあるスコットランド独立党(SNP)が大幅に勢力を弱め、逆に保守党が支持を広げたためです。

SNPは今回総選挙でどう戦ったのか

2014年9月のスコットランド独立の是非を問う住民投票では僅差で「反対」が上回ったものの、独立推進運動はその後も勢いを失わず、SNPは翌2015年5月の総選挙でスコットランド59議席のうち56を獲得。2010年5月の前回選挙の6議席から大きく上積みし、保守党、労働党に次ぐ第3党に躍進しました。しかし、今回の選挙結果をみると21議席の大幅減。第3党の地位を維持しているものの、退潮傾向は鮮明です。
昨年7月にメイ政権が発足した際、SNPのニコラ・スタージョン党首は住民投票実施を訴えましたが、首相に拒否されます。今回の選挙でもSNPは欧州連合(EU)離脱を進めるイギリスからの独立を求め、住民投票の再実施を掲げてきました。しかし、同党のロバートソン副党首やサモンド前党首といった有力議員の落選が示すように、SNPは争点の設定を見誤ったと思われます。

伝統的には中道左派だが・・・

SNPの歴史を振り返ってみると、旗揚げは1934年のスコットランド国家党とスコットランド党との合流に遡ります。反イギリス主義で一貫しており、第2次世界大戦ではイギリス政府への反政府運動・徴兵拒否運動を強め、政府の弾圧を受けたこともあります。政治思想的には中道左派。スコットランドでは労働党や自由民主党が支持基盤としてきました。トニー・ブレア元首相はスコットランド出身です。
しかし、今回SNP以外の24議席は保守党13、労働党7、自由民主党4と3党で分け合いました。SNPの住民投票ありきのマンネリ化した主張に飽きたというのであれば、従来通り労働党や自由民主党に票が流れるはずですが、そうはならず保守党が支持を広げました。

スコットランドの民意を考える

伝統的に中道左派路線を支持するスコットランド有権者にとって、ジェレミー・コービン党首率いる労働党の政策はあまりにも左派に寄り過ぎていた可能性があります。また、自由民主党は、2010-2015年の保守党との連立政権時代、従来の社会民主路線を放棄し保守党と一緒になって財政緊縮を推進した政策的なブレが嫌気されたのかもしれません。
今回選挙のスコットランド有権者の意図はまったく謎ですが、保守党が支持を広げたということはメイ政権への支持と受け取れます。そうであるなら、住民投票の実施は当分の間は見込めないでしょう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする