【RUB】ロシアルーブル1人勝ち

アメリカのトランプ政権発足に続き、カタールと湾岸諸国との国交断絶の原因がロシアによるハッキングがきっかけだったとしたら、その目論見はここまで大成功でしょう。通貨ルーブルの昨年来の上昇基調は、国際政治の覇権争いにアメリカが脱落し、ロシア1強時代に突入したことを表しているようです。

カタール問題で関係国がバトルロイヤル

サウジアラビアをはじめ湾岸諸国がカタールとの国交断絶を発表してから約2週間、シリアの内戦も絡み合い複雑な対立構造になってきました。反カタール派はサウジアラビアを筆頭にアラブ首長国連邦(UAE)、エジプト、バーレーン、シリア(反政府)のスンニー派連合で、それに利権の絡むアメリカが同調。これに対し、カタール派はカタールと同じスンニー派のトルコのほか、イランやシリア(政府)のシーア派連合が加わったグループに色分けできます。
サウジ派は主に宗教的な結びつきなので比較的わかりやすいといえます。しかし、カタール派は宗派の異なるイランの支援があるほか、軍事協定を締結しているトルコも投資マネー維持の観点からカタールに軍隊を派遣しました。ただ、トルコはアメリカ同様、北大西洋条約機構(NATO)加盟国です。アメリカのトランプ大統領はすでにサウジ支持を表明していますが、カタールには中東最大のアメリカ空軍基地があります。このように、宗教や宗派、安全保障、ビジネスなどのつながりから関係する国や組織が入り乱れています。

アメリカの信頼失墜でロシアが盟主に

今年5月にトランプ氏が初の外遊先としてサウジを訪問した際、サウジ側はもともと目の敵にしていたカタールへの対決姿勢にアメリカの強い後ろ盾を得たと理解し、断交に踏み切ったと報じられています。サウジが湾岸の盟主であることを今さら示す意図はよく理解できませんが、いずれにしてもトランプ氏が「火薬庫」の導火線に火をつけてしまい、和平構築へのこれまでの取り組みに対する信頼が失われたことは間違いないでしょう。
そのアメリカに代わり、ロシアが中東の新しい盟主になるかもしれません。ロシアはカタールの湾岸諸国との関係改善に向け協力姿勢を打ち出す一方、原油の協調減産の延長に向け、サウジとも歩調を合わせ始めました。中央アジアや中東でのアメリカの影響力を弱めたいロシアはイランと利害が一致しており、アメリカの石油利権を守るサウジとの関係構築に従来は消極的でした。オセロゲームのようにオバマ政策をひっくり返すことに余念のない内向きのトランプ政権を尻目に、中東でのプレゼンスの拡大を狙うロシアの目論見は成功しつつあります。

プーチンは再選に向け布石

もっとも、来年任期満了となり再選を目指すプーチン大統領にとって、原油価格を安定させ国内経済の成長をアピールしたい思惑もあるでしょう。欧米が各国の選挙で忙殺されるなか、ロシアは中国や中央アジア4カ国で構成する上海協力機構(SCO)の首脳会合を主導するなど、着々と布石を打っています。「トランプ政権発足後は米ロ関係が悪化している」とのプーチン氏のコメントは、アメリカを管理下に置いた響きがあります。(原油価格が不安定になった5月を除き)一貫して上昇基調のロシアルーブルの値動きは、そんな米ロの力関係を反映しているように見えます。

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