【TRY】持ち直すトルコリラ

昨年11月のアメリカ大統領選の後、「トランプ・ラリー」のドル高の影響で、トルコリラは今年1月に過去最安値を付けました。リラ安はどこまで進むかとの好奇心とは裏腹に、政治の不透明感が払しょくされたとして回復傾向にあります。ただ、湾岸諸国のカタール断交問題は、リラにどのような影響があるでしょうか。

過去最安値から修正

トルコリラは昨年11月以降、対ドルで3.15リラ付近から下落基調となり、今年1月には過去最安値の3.94リラまで下落。その後、売りは一服し、下げ過ぎの修正に向かっています。トルコでは4月の大統領権限を強化する憲法改正の是非を問う国民投票後、政権による利下げ圧力により中銀の独立性が失われるとの懸念から、リラ売りが強まるとみられていました。

中銀は引き締め方針を堅持

一方、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)は6月13-14日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場の予想通り政策金利を引き上げました。今後、アメリカの経済指標が堅調となり、FRBのかなりタカ派寄りの引き締め方針を後押しする内容となればドルに買いが入りやすくなり、逆にリラには強い下方圧力がかかるでしょう。ただ、これまでトルコ中銀が引き締めスタンスを堅持しており、リラ売りは回避されています。

カタール断交問題の影響は?

ただ、今後もリラの底堅い値動きが続くとは限りません。サウジアラビアなど湾岸諸国とカタールとの断交の影響が出始める可能性があるためです。カタールと軍事協定を締結しているトルコは、即座に軍隊を派遣するとともに、エルドアン大統領はカタールやサウジなど当事国やロシアなどの首脳と電話会談を行い、緊張緩和に向けて動き始めます。

カタール・マネーの重要性

トルコにとって、地域内の対立は経済に深刻な影響をもたらすと懸念されています。そうなればここまで持ち直したリラは、再び下落基調に転じる展開も想定されます。トルコからみれば、カタールは投資マネー維持の観点で重要な国です。専門家によると、カタールのトルコへの投資額は15億ドルで、カタールの外国直接投資の総額530億ドルに占める比率はわずかですが、2013年以降、増加傾向にあります。

中銀の利下げ圧力にどこまで抵抗できるか

今回の危機が長期化した場合には経済や政治のコストが域内のすべての国で上昇し、最悪の場合は軍事衝突に至る可能性もあります。関係各国の対立が長引き、経済に悪影響が出ればエルドアン政権は中銀に対して利下げ圧力を強めるでしょう。中銀が抵抗できなくなれば2ケタ台のインフレ率でも利下げに踏み切る可能性があり、トルコ経済の混乱を警戒したリラ売りが強まるかもしれません。

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