【JPY】米朝チキンレース

7月6-7日にドイツ・ハンブルグで行われた20カ国・地域首脳会合(G20サミット)の首脳宣言に北朝鮮の核・ミサイル問題に言及されなかったことは、今後の金融市場にとって憂慮されるポイントです。核の脅威にさらされる度合いが増し、折に触れ円買い要因となるためです。

G20首脳宣言に北朝鮮問題は言及されず

7月4日の長距離弾道弾の打ち上げに対しアメリカが軍事行動を示唆した対応で、今年4月に続き再び朝鮮半島に緊張が高まっています。G20サミットに合わせて行われた中国・習近平国会主席とロシア・プーチン大統領との首脳会談後、両首脳は北朝鮮を強く非難する一方、「北朝鮮の懸念にも理由がある」と配慮した姿勢をみせました。朝鮮労働党の金正恩委員長はいきり立つアメリカに対し、独立記念日の「贈り物」とうそぶく場面もありました。実際には複雑な関係ながら、表面上は中国・ロシア・北朝鮮が歩調を合わせているように見えます。
一方、アメリカ・トランプ大統領と日本の安倍晋三首相、韓国の文在寅大統領もG20を前に首脳会談を行い、圧力を強めることで一致しました。こうした中ロの対話路線と日米の圧力路線に調整がつかず、G20首脳宣言に盛り込まれなかった可能性があります。韓国は基本的には日米寄りですが、北朝鮮とは対話に踏み出したい意向のようです。また、高高度防衛ミサイルシステム(THAAD)配備をめぐり、配備に反対の中国との交易関係を考えるとアメリカとの距離を置かざるを得ないのでしょう。

トランプ政権の東アジア外交に懸念増幅

もっとも、トランプ大統領は金正恩氏に関し、アメリカのテレビ・インタビューで「なかなかの切れ者」と持ち上げたかと思うと、フィリピンのドゥテルテ大統領には「核兵器を持った頭のおかしい男」「野放しにしておくわけにはいかない」などと相反する評価をしています。日本と安全保障上の重要なパートナーであるアメリカの大統領としては非常に心もとなく思えます。こうした発言などから、同大統領が東アジア外交にあまり関心のないことを、中ロや北朝鮮が見透かしているのかもしれません。

円高圧力として威力増す北の脅威

4月以降、トランプ大統領が北朝鮮問題で学んだことがあるとすれば、「簡単に手を出せない」ということかもしれません。それでもアメリカは「かなり重大な措置」を検討するとしており、北朝鮮との間では究極のチキンレースのような状況になってきました。日米がG20で国際社会を巻き込むことに失敗したことで、北朝鮮のミサイル発射や核開発はますます助長することが予想されます。北朝鮮に生殺与奪を握られたような環境下で、円買い圧力としてより威力が増したように思われます。

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