【USD】米雇用情勢は改善?

8月4日に発表された7月米雇用統計は、非農業部門雇用者数が予想以上に増加し、同日のNY市場では連邦準備制度理事会(FRB)の引き締めへの思惑が広がりました。ただ、内訳をみると、雇用情勢は必ずしも改善したとは言い切れません。

U6失業率の低下は足踏み

7月雇用統計の市場コンセンサスは、非農業部門雇用者数は前月比+18.3万人(前回+22.2万人)、失業率4.3%(同4.4%)、平均時給は前月比+0.3%(同+0.2%)。結果は順に+20.9万人、4.3%、+0.3%となりました。失業率と平均時給は予想通りでしたが、非農業部門雇用者数の上振れと前回の上方修正が好感され、成長の持続やそれを背景とした金融引き締めを期待したドル買いが強まりました。
ただ、細かくみると、イエレンFRB議長が重視する雇用関連の経済指標「イエレン・ダッシュボード」の1つ、U6失業率は足踏み状態となりました。このU6失業率は、16歳以上で正社員を希望しながら採用に至らずパートタイム就業をする人や、現在は求職活動していないものの労働の意欲がある人など、広義の失業率をいいます。この10年間でみると、リーマン・ショック直後の2009年には17%台まで達し、その後は低下傾向にあります。
FRBが9年半ぶりに利上げに踏み切った2015年には、U6失業率は年初の11%台から10%を割り込み、9.8%まで低下しましたが、翌2016年は9.7-9.9%でほぼ横ばいとなり、年終盤の3カ月に低下しています。利上げはその年、12月の1回のみでした。今年に入って1月は9.7%に悪化したものの、その後は低下が続き5月は8.4%と、2007年以来の低水準に改善。今年3月と6月の引き締めは、いずれもU6失業率の低下の過程で決定されました。

FRB引き締め方針への疑念は継続

「イエレン・ダッシュボード」は、非農業部門雇用者数、失業率、U6失業率、労働参加率、長期失業者の割合、退職率、求人率、採用率、解雇率で構成されます。FRBは他にも国内総生産(GDP)や消費者物価指数(CPI)などの重要指標を総合的に分析して、金融政策を決定します。ただ、U6失業率が6月と7月はともに8.6%となり、次回8月が悪化した場合には結構インパクトが大きいのではないかと考えます。
ドル・円の値動きをみると、先月中旬のイエレン議長によるハト派寄りの議会証言や低調な6月米CPIを受け市場心理が悪化し、大方の市場関係者が想定するレンジ110-115円の下限を割り込む場面がありました。4日のNY市場では7月雇用統計を受け一時111円台を回復しましたが、センチメントが改善したとは判断しにくく、足元のドル売りの調整と考えられます。週明け以降、ドル買いはそれほど強まらないとみています。

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