【USD】泥沼の米朝対立でドル一段安

アメリカと北朝鮮の対立でリスク回避の円買いが強まっているほか、サポート要因と期待された米7月消費者物価指数(CPI)は想定を下回り、ドル・円は一段安が見込まれます。夏枯れ相場は、にわかに先の読めない相場となってきました。

軍事衝突への警戒でVIX指数が上昇

アメリカのトランプ大統領がミサイル開発を進める北朝鮮に対し「これまで見たことのない炎と怒りに直面する」と警告すると、北朝鮮側はグアム周辺へのミサイル攻撃を示唆。直近の報道によると、トランプ氏は北朝鮮が「浅はかな行動をとるなら軍事的解決をとる準備は完全に整っている」とさらにけん制しました。金融市場では、両国による軍事衝突への警戒が高まり株売り・安全通貨買いに振れやすい地合いとなっています。
アメリカとソ連(当時)があわや核戦争というレベルまで緊張が高まった1962年の「キューバ危機」は、ケネディ、フルシチョフの両首脳の理性で回避されました。しかし、米朝の非難の応酬はアメリカのコメンテーターが揶揄している通り「プロレスラーどうしの挑発」のようで、怒りが頂点に達したタイミングで殴り合いになる、との印象を受けます。VIX指数が高まっているのは、そんな市場心理を反映しているのでしょう。

アメリカの影響力低下も

これに関連し、ロシアのラブロフ外相は11日、米朝の軍事衝突の可能性は高いとの見方を示しました。同時に、北朝鮮は今後のミサイル発射の凍結、アメリカと韓国は軍事訓練の停止を盛り込んだ計画を策定中としています。アメリカは北東アジアでの影響力は弱まっても核戦争よりはマシという判断から、ロシアが中国と共同でまとめたその計画を近く受け入れざるを得なくなると筆者はみています。中露は、最初からそのシナリオを描いていたフシもあります。

米年内追加利上げは困難か

一方、10日に発表されたアメリカの7月生産者物価指数(PPI)に続き、11日の同消費者物価指数(CPI)が低調となったため連邦準備制度理事会(FRB)による引き締め方針への懐疑的な見方がより強まっています。CPIは前年比で2月に+2.7%まで上昇したものの、その後3-6月の4カ月は連続して伸びが鈍化していました。7月CPIは+1.8%と6月の+1.6%から改善が予想されていましたが、結果は+1.7%にとどまりました。
2017年は残り4カ月あるのでまだわかりませんが、現時点ではファンダメンタルズの悪化から、今年3回と見込まれていた利上げは、3月と6月のみで年後半はゼロになるとの見方が広がり始めました。今月24-26日にワイオミング州ジャクソンホールで開かれる年次総会は、そうした合意が形成されるのかもしれません。

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