【JPY】北朝鮮問題ではトリプル安か

北朝鮮が8月29日早朝の弾道ミサイル発射を受け、日本上空を通過したことが緊張の度合いをより高めました。これを受け、外為市場では「危機=円買い」に疑念が出始めたように思えます。

日本上空の通過で緊張

北朝鮮のミサイルが日本上空を飛行したのは1998年8月が初めて。今回はそれ以来のことです。発射を事前に通告した2009年4月、2012年12月、2016年2月の3回を含めると5回目となります。日本列島の上空越えによる直接的な被害はなかったものの、攻撃を受けたのに近い感情が芽生えます。自国の意志を相手国に強制するために武力を使うことが戦争の定義だとすると、すでにその状態に突入しているのではないでしょうか。
金融市場にも緊張が高まり、円など安全通貨が買われました。ドル・円は一時108円30銭台まで値を下げ、今年4月に付けた年初来安値108円13銭が意識されました。足元では、税制改正などを柱としたトランプ政策や連邦準備制度理事会(FRB)による引き締め方針などに目が奪われがちですが、北朝鮮は9月9日の同国の建国記念日に「イベント」として核実験実施を検討中とも伝えられ、東アジア地域の緊張は続いています。

外交努力による解決は困難か

国連安全保障理事会は臨時会合を開き、北朝鮮を非難する議長声明を全会一致で決議。しかし、北朝鮮は今後もミサイルを発射し、米国への挑発をさらに続ける意向にもかかわらず、拒否権を持つ常任理事国の中国やロシアが北朝鮮への追加制裁に消極的です。北朝鮮は一応国連加盟国のため武力介入は容易にできず、外交的な対話と圧力で解決するしか道は見当たりません。
アメリカは1994年、当時のビル・クリントン大統領がジミー・カーター氏を大統領経験者として初めて北朝鮮に派遣し、金日成主席との会談を経て北朝鮮の核開発凍結と査察受け入れを合意させた経緯があります。ただ、トランプ大統領がクリントン氏と同様の手を打とうとしても、かつて北朝鮮をイランやイラクとともに「悪の枢軸」と批判したジョージ・W・ブッシュ氏では、相手側と交渉などできないでしょう。

「リスク回避の円買い」に疑問

アメリカの北朝鮮外交には手詰まり感があり、核・ミサイル開発への脅威はさらに強まりそうです。今年4月の時点で、朝鮮半島有事の際には日本株売りに伴い円買いと市場参加者はみていました。しかし、今回のミサイル発射で今後の本土着弾が現実的な問題として意識されています。その時の被害状況にもよりますが、少なくとも、被害を受けた場合の日本の通貨を買う動きは想定しにくくなってきました。
実際、8月29日には市場関係者から「激しいトリプル安を懸念している」との声が聞かれました。

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