【MXN】メキシコ大地震でペソの揺れは?

メキシコを襲ったマグニチュード8超の巨大地震は、来年の大統領選を控えに向け重要な試金石となりそうです。通貨ペソは、現時点でドル売り基調にサポートされていますが、政治の不安定化に懸念が強まればペソ安トレンドに逆戻りする展開も見込まれます。

大地震発生によるペソの売りは限定的

現地時間9月7日深夜(日本時間8日午後)にメキシコ沖の太平洋を震源とした大地震は、メキシコ南部を襲い、これまで90人の死亡が確認されました。被害の全容は明らかになっておらず、復旧作業の進展が待たれます。1985年9月に発生したメキシコ地震はマグニチュード8を記録し、死者は1万人、全半壊した建物が10万軒で、被害総額は3-4億ドルにのぼりましたが、今回の地震の規模はそれ以来の大きさです。金融市場では通貨売り・株売り・債券買いに振れました。
ただ、地震発生後のペソの値動きをみると、17.61ペソから17.75ペソへの小幅な下げにとどまりました。日本時間8日は、欧州中銀(ECB)が10月にも資産買入れプログラム縮小を判断するとの安心感からユーロ買いが強まり、その影響でドル全面安となりました。ドル・円は2017年の最安値を下抜け、107円台に下落。ペソは巨大地震の発生を受け売りが出たものの、ドル売り圧力でペソの極端な下げは回避されたとみられます。本格的なペソ売りは週明け以降かもしれません。

米新政権発足で過去最安値も回復基調に

振り返ってみると、アメリカのトランプ大統領がメキシコ国境付近の「壁」建設など、経済的な結びつきを強めてきたメキシコとの関係を修正するとの懸念を背景に、ペソは昨年から今年1月にかけて下方圧力がかかりました。1月中旬にはアメリカの対メキシコ通商・移民政策の不透明感から過去最安値となる1ドル=22ペソ付近まで一時値を切り下げています。その後はメキシコ中銀が金融緩和や為替介入で機動的に対応した結果、ペソは反転し、昨年5月以来の水準に回復しました。
ペソ買戻しのもう1つの要因は、今年6月に実施された地方選です。メキシコ州知事選などを含む主要な選挙でペニャニエト大統領所属の与党・制度的革命党(PRI)が野党を押さえ、2018年7月の大統領選挙に向けて政治リスクが後退した、と市場は受け止めました。また、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め方針の不透明感や、原油価格の底堅い値動きもペソの回復を支援したようです。しかし、今回の巨大地震の発生により、ペソの先行きは読み切れなくなってきました。

不透明感増すペソの変動要因

6月の地方選に関しては、別の見方もあります。PRIはメキシコ州とコアウイラ州の知事選を制したものの、ナジャリット州は国民行動党(PAN)など野党に押され、PRIの苦戦が印象付けられました。PRIは1929年から2000年まで、実に71年間も与党として君臨し、いったんPANに政権を奪われたものの、2012年に与党に返り咲きました。今回の巨大地震の被害への対応や北米自由貿易協定(NAFTA)に関するアメリカとの協議などもあり、政権維持についてはまだ予断を許す状況ではなくなってきました。

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