【MMK】ロヒンギャ問題の影響を注視

2011年の民主化を背景に高成長を遂げるミャンマー経済は、政治や社会の安定化が前提でした。しかし、少数派のイスラム教徒ロヒンギャの取り扱いをめぐり国際社会からの批判が強まれば今後の成長の妨げになる可能性もあり、通貨チャットの値動きにも影響を与えそうです。

民主化以降は緩やかなチャット安

ミャンマーは半世紀にわたる軍事政権から2011年3月以降に民主化が始まりました。2015年11月に行われた民主化後の初の総選挙でアウンサンスーチー氏が率いる国民民主連盟 (NLD) が圧勝し、2016年3月にティン・チョー政権が発足。スーチー氏は憲法の規定により大統領ポストには就けませんが、国家顧問兼外相として実質政権を掌握しています。その間の民主化プロセスを背景に「アジア最後のフロンティア」として注目され、主要国の企業が進出し、足元の成長率は年間7-8%にのぼります。
通貨チャットは2012年4月から管理フロート制に移行され、緩やかな下落トレンドが続いています。当初1ドル=820チャット付近で推移していましたが、輸入の拡大に伴う外貨需要の増大などによりチャット安が進み、2016年にかけて1300チャット台まで下落。4年半超の間に6割程度減価したことになりますが、消費者物価に占める輸入品の割合が小さいため、インフレなどへの影響は軽微のようです。今年は1300-1400チャットのレンジで安定的な値動きとなっています。

国際社会の批判強まれば輸出入に影響も

ミャンマーは豊富な天然ガス資源に恵まれており、ガス田開発に関わる直接投資やガス輸出の拡大はチャット高要因となっています。管理フロート制の下、製造業の輸出が本格化するまではチャット安の継続が見込まれますが、経常赤字、財政赤字の拡大によりインフレ急伸などのリスクに警戒感もあります。現時点では輸出入に一定のバランスが保たれているようですが、足元ではロヒンギャ問題が泥沼化しつつあり、今後は経済への影響に懸念が強まるかもしれません。
8月下旬、ミャンマー西部ラカイン州で、ロヒンギャの武装勢力と治安部隊と戦闘状態となり、400人(報道によっては1000人)超が死亡。隣国のバングラデシュに逃れた40万人規模にのぼるとみられています。インターネットの署名サイトでは、1991年にスーチー氏が受賞したノーベル平和賞の取り消しに42万人が賛同する事態となっているようです。 一方、スーチー氏はトルコ大統領との電話会談で、ロヒンギャが「フェイク(偽)ニュース」を流していると反論しました。
現地はメディア関係者も足を踏み入れられない状況で、確かに実態は把握しきれていないようです。直近の報道によると、イスラム系国際武装組織アルカイダも参戦する見通しで、ミャンマー国内でのテロ行為などに懸念が強まるかもしれません。イギリスの統治時代から続く根強い対立の構造はさらに激しさを増しそうです。

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