【EGP】「アラブの春」代償は激インフレ

2010年代前半に中東で広がった反政府運動「アラブの春」は、長期政権を打倒したものの、その後の混乱は深まるばかりです。エジプトはその典型で、足元は激しいインフレに襲われています。今月末から日本-エジプトの航空路線が開設されますが、エジプト経済の再生に一助となるでしょうか。

ムバラク長期政権後の民主化に綻び

チュニジアで長期独裁政権の打倒を目指した反政府デモ「ジャスミン革命」が2010年末に始まり、世界中から注目を集めました。この動きが波及したエジプトでは、麻薬密売の警察の関与をネットで告発しようとしたコンピュータ・プログラマーが警察に撲殺された事件をきっかけに大規模な抗議活動に発展。2011年1月の「エジプト革命」により、29年にわたるムバラク政権は終えんを迎えました。
軍の暫定統治を経て、自由選挙で選出されたムスリム同胞団のムハンマド・ムルシーが2012年7月に大統領に就任しました。ところが、ムルシー政権は経済の立て直しに乗り出したものの、成長のペースは鈍く有権者に期待は失望に変わります。そして、軍事クーデターによって就任からわずか1年後の2013年7月3日、民主化プロセスで発足した政権は幕を下ろすことになりました。

エジプトのCPIは前年から3割上昇

その後2014年5月に行われた選挙で選出されたアブドルファッターフ・アッ=シシ元国防相が大統領に就任し、停滞したエジプト経済の立て直しに着手。ただ、エジプトはテロ事件による海外からの観光客激減が響き深刻な外貨不足に陥り、エジプト政府は国際通貨基金(IMF)への支援を要請します。シシ政権は支援の前提となる為替の自由化と財政改革を進めました。その結果、足元の激しいインフレを引き起こしています。
2016年11月の変動為替相場への移行で、通貨ポンドは1ドル=8.8ポンド付近から短期間で急激に値を下げ、一時19ポンド台まで下落。その後は18ポンド付近で推移していますが、穀物などの輸入依存度が高いため国内物価の押し上げ要因となっています。消費者物価指数(CPI)はそれまでの10%台から同年11月は20%台に、今年に入ってからは30%台の高水準に上昇。補助金の削減で、国民は生活苦を強いられています。

観光シーズンの到来で日本人観光客に期待

エジプト経済の当面の課題として、資金・外貨の確保が挙げられます。こうしたなか、エジプト航空は、2013年7月から運航を休止していた成田-カイロ線を10月29日から再開します。かつて日本からエジプトへの渡航者は年間10万人程度にのぼりましたが、治安の悪化により、最近では1万人台にとどまっています。日本人旅行者の回復には時間がかかるかもしれませんが、それでも外貨獲得の一助と期待されます。

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