【USD】ハリケーン・エクスキューズ

アメリカの12月追加利上げへの期待にやや一服感が広がっています。8月から9月にかけてアメリカに上陸したハリケーンの影響が反映された経済指標だと、前月や前年の実績と正確に比較できないためです。経済指標をベースとした市場センチメントの形成は、来月以降になりそうです。

9月のインフレ関連指標は「参考」

9月19-20日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)で、今後の引き締めに関してはインフレ関連指標の内容次第との意見が複数出ていたことが、10月11日公表の議事要旨から明らかになりました。12日には9月生産者物価指数(PPI)が発表され、前月比で+0.4%(予想+0.4%、前回+0.2%)、コアPPIは+0.4%(予想+0.2%、前回+0.1%)といずれも前回を上振れたことから、翌13日の9月消費者物価指数(CPI)が注目を集めました。
9月の総合CPIは、前月比では+0.5%(予想+0.6%、前回+0.4%)、生鮮食料品やエネルギー価格を除いたコア指数は前月比+0.1%(予想+0.2%、前回+0.2%)となりました。また前年どうしで比較すると、総合CPIは+2.2%(予想+2.3%、前回+1.9%)と、連邦準備制度理事会(FRB)の目標+2.0%をクリアした一方、コアCPIは+1.7%(予想+1.8%、前回+1.7%)にとどまりました。

CPI発表後はポジション調整主体か

「ハービー」「イルマ」の影響を受けた今年9月CPIの発表を受け、ドル・円は111円70銭付近に急落しました。同じ時間に発表された9月小売売上高の予想下振れもドル売りを支援したようです。それらに先立ち、アトランタ連銀のボスティック総裁は、FRBが12月の会合で利上げに踏み切るかどうかは「わからない」と発言したことも、ドル売りの伏線になっていたかもしれません。
ただ、指標は予想を下回ったとはいえ、失望感が広がるほどの内容だったとは思えず、発表をきっかけにたまっていたドル買いポジションを整理したとみる方が実態に近いといえるでしょう。10月26日の欧州中銀(ECB)理事会に向け、引き締め期待を背景としたユーロ買いの影響でドルが押し下げられる可能性はありますが、Fedウォッチでは8割超が12月の引き締めを織り込んでおり、目先のドルの極端な下げは想定しにくいでしょう。

「カトリーナ」後のWTIは強含み

アメリカの代表的な自然災害といえば、2005年8月に南東部を襲撃したハリケーン「カトリーナ」(最大時カテゴリー5)が想起されます。この時はNY原油先物(WTI)が1バレル=60ドルから70ドルに上昇し、CPIを押し上げました。同年のコアCPIは前年比で8月+2.10%、9月+2.00%、10月+2.10%にとどまったのに対し、総合指数は同様に8月+3.60%、9月+4.70%、10月+4.30%と、襲撃後の9月と10月の大きな乖離が目立ちました。
2005年のデータからわかるように、ハリケーンの影響は数カ月は残るため、その間は経済情勢を正確に把握することは難しく、経済指標を手がかりとした値動きは小幅にとどまる可能性があります。

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