【IRR】核合意破棄への懸念で通貨急落

イランが欧米6カ国と2015年に締結した核合意に関し、アメリカが破棄する可能性が高まっています。制裁の解除を前提としてきたイラン経済の成長期待は一気に低下し、通貨リアルの闇レートは急落。イラン情勢は当面、目が離せない状況になってきました。

トランプ米大統領が核合意「認めない」

アメリカのトランプ大統領は10月13日の演説で核合意について言及し、数年後には重要な規制が撤廃されイランが急速に核開発を進めることができるようになるとの理由で、容認しない考えを打ち出しました。アメリカ国内では、共和党がイランとの合意は失敗だったとしていたほか、トランプ大統領は昨年の大統領選の選挙期間中も合意の破棄を主張するなど、イランに対する不信感が膨らんでいました。
イランは2005年以降にアフマディネジャド政権下で加速した核開発疑惑で、2010年に国連や欧米などから制裁を強化され、国内経済は低迷。しかし、2013年にロウハニ大統領が就任後、ウラン濃縮能力削減などの合意内容の履行が国際原子力機関(IAEA)で確認され、核開発疑惑に関わる制裁は解除されました。今回のトランプ大統領の見解に対し、ロウハニ大統領は「イラン国民への侮辱」と反発を強めています。

制裁解除を期待したイラン経済の行方

いったん解除した経済制裁を再び発動するかどうかは、今後のイラン経済を大きく左右するでしょう。特に、原油の輸出解禁が凍結されれば、国内総生産(GDP)を大きく押し上げる柱を失いかねません。また、制裁によって撤退した外国企業を現在は呼び戻す動きを加速させているだけに、直接投資の増加も閉ざされてしまいます。アメリカの議会は制裁再開には消極的とみられるものの、予断を許さない状況です。
制裁再開の場合、5月に再選されたロウハニ大統領の政権運営の不安定化につながるほか、中東の政治力学にも影響を与えるでしょう。中東地域は今後、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)などの親アメリカと、ビザ発給の問題でアメリカとは急激に関係が悪化しているトルコ、サウジなど湾岸諸国から国交を断絶されたカタール、それにイランを加えた反アメリカに分断され、緊張が高まる可能性もあるでしょう。

イラン通貨は40000リアル台に急落

イランリアルの値動きをみると、2015年7月の核合意以降、下げは緩やかになったものの、2016年半ばから下げ足を速め、同年暮れには過去最安値を記録しました。2017年に入り32300リアル台から32400リアル台で推移していますが、トランプ大統領の見解を受け、闇レートは40000リアルを下抜けました。やはり制裁の再開に対する懸念からリアルは売られやすい地合いになっています。

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