【SEK】NATO加盟ならクローナ高か

スウェーデンでは来年実施される次期総選挙に向け、北大西洋条約機構(NATO)加盟に関する議論が白熱しそうです。加盟を主張する野党が政権を奪還した場合、防衛上の安定を背景に通貨クローナは上昇する可能性があり、通貨安政策を維持したい中銀にとっては新たな障害になるでしょう。

バルト海でのロシアの動きに警戒

近年のロシアによるバルト海での軍事活動は、冷戦後最大といわれるほど活発化しており、バルト3国や北欧諸国では警戒を強めています。今年9月にはロシア軍がラトビアなどを意識した軍事演習を決行。2014年2月のウクライナ国境周辺での大規模軍事演習の直後、クリミア半島を併合したことが想起されました。それと前後して行われたスウェーデンの「オーロラ17演習」はこの20年あまりの軍事演習では最大規模となりました。
バルト海での有事に備え、政府は自衛力を高める目的で軍事予算を増額するほか、2010年にいったん廃止した徴兵制を2018年1月から復活させる方針です。スウェーデンは現在、NATOには加盟せず中立を維持していますが、社会民主党・緑の党の連立政権は今後も共同軍事演習などには参加する独自の路線を継続する方針です。ただ、今年に入って行われた世論調査では、50%近くが加盟に賛成で、反対の39%を上回りました。

NATO加盟が総選挙の争点に

与党は伝統的な中立を守りたい考えのほか、反米主義が根強いことがNATO非加盟の要因です。また、NATO加盟によってロシアを刺激したくない思惑もありそうです。一方、親プーチン政権の民主党以外、すべての野党は、NATO加盟を主張しています。ロシアがスウェーデンを攻撃した場合にはアメリカをはじめNATO加盟国への攻撃とみなされるため、抑止力になるとの見方です。この問題は、総選挙での争点化が見込まれます。

選挙は影響を見極めも

スウェーデン中銀(リクスバンク)は10月26日に開催した定例会合で、政策金利-0.5%の据え置きを決定し、同時に政策金利を2018年半ばまで引き上げない方針を示しました。スウェーデンの消費者物価指数(CPI)は2015年9月以降、恒常的にプラスで推移し、今年7月になってようやく中銀目標の2%台に上昇。インフレの上昇基調を維持するためには今後も緩和的な金融政策を堅持し、クローナ高を回避したい考えです。
しかし、NATO加盟問題が絡むと、クローナの値動きは先読みしにくくなります。与党が非加盟のまま現行の防衛方針を維持するなら、ロシアへの脅威が高まるかもしれません。逆に、来年9月の総選挙で野党が政権を奪還しNATOに加盟する流れになった場合、その時の情勢にもよりますが、自国への攻撃の抑止力になるとの見方が広がれば、クローナ買いに振れる可能性はあるでしょう。

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